刃物は裁縫用な鋏や包丁以外に使ったことは無くて、戦骨はどうしたものかと悩んでいる。私も人並み態度の筋力やスタミナがあれば良かったんですけど。
やはり私に使える武器はありませんよね。
「包丁なんてどうだ?」
「包丁は料理のために使うものですよ?」
「お、おう、すまねえ……でもよ、隕鉄から作り出したこの黒包丁と白包丁はお前が持っててくれよ。どうにも料理はからっきしらしくてな」
白包丁と黒包丁。
「仮面ライダーカブト」に登場する光と闇の料理人の双方が追い求める伝説の包丁ですね。
確かに、私の「特典」と相性は良いでしょうけど。
だんだんと「仮面ライダーカブト」の世界観に近づいているのでは?と思いながら「物語」を繋げる絵草紙は書いていないので心配する必要は無いんだけど。やはり繋がらないかと不安になってしまいますね。
「さっき隕鉄から作り出した、と」
「ちょっと殺生丸と戦っているときに降ってきた隕石を叩き壊したら出来たヤツだ。黒包丁は灰刃坊、白包丁は刀々斎に頼んで作った」
「それはもう妖刀なんじゃ」
「いや、二人とも真面目に妖気も血も込めずに作ってくれたぜ。やっぱり食材を切る道具に変なものを混ぜるのは種族は違っても嫌なんだな」
そう感心している戦骨に苦笑する。
二人とも物を作ることに妥協しないタイプですから、そういうものですよ。……しかし、伝説の白包丁と黒包丁を私が手にするなんてビックリです。
「さてと。椿婆さん、ちょっと妖怪をブッ倒してくるから二人の事守っててくれよ」
「言われなくても守るわよ、全く」
戦骨の言葉に文句を言って、しとりを撫でていた手を止めて手招きをする椿の傍に近付くと「包丁貰っても大変でしょう、さっさと取り憑いている妖怪に渡しときなさい」と言われ、個魔の方も手を差し出している。
日常的に包丁を持ち歩けるほど体力はないので私も個魔の方の善意に感謝しながら、白包丁と黒包丁を手渡すと白包丁が戻ってきた。
「妖刀ね」
「妖刀みたいだな」
「包丁なのに妖刀とは?」
刀々斎様の鍛えた白包丁は私を主人と選んでくれたのかな?と首を傾げながらも鞘から少しだけ引き抜くと強烈な意志を感じたので鞘に戻す。
「お願いしますね」
「母者は本当にビビリだな」
「臆病なのは良いことよ。それだけ慎重に物事を見定めて安全に動けるということだもの」
個魔の方の呆れた言葉を、フォローするように椿が私の臆病さを褒めてくれた。そう、ですね。臆病さは短所ではなく、長所として扱えば良いんです。