「で、お前は本当に誰なんだよ」
左之助さんの問いかけに彼は「本当に覚えていないのかい?」とまた私に話しかけてくるので素直に覚えていないことを伝えると残念そうに帰ってしまった。
何処かで出会った記憶はないので本当に初対面の筈ですけど。彼は一体何者だったのだろうかと首を傾げつつ、私は玄関の戸を閉めようとしたその時────。
「あっ、そうだ。忘れてるなら伝えておこう、三解の最後を描くつもりなら楽しみにしているよ、僕も楽しく読ませて貰っているからね」
さんかい?三回?
いえ、まさか、三解の事ですか?
「
「は、はは、そ、そうですね」
冷や汗を流していることを悟られないように身体を左之助さんに預け、奈落と白面の者に加えて、更に新しく目を付けてくる相手がいるなんて想像もしていなかったけど。私の描いたものは繋がってしまうんでしたね。
未だに状況を飲み込めていない左之助さんの腕にしがみつき、ドクドクと激しく鼓動を打つ心臓の痛みを堪えるように座り込み、ゆっくりと浅くか細い呼吸を繰り返しながら私の事を心配してくれる左之助さんに「大丈夫です」と言って笑顔を向ける。
まさか才賀貞義として来日しているとは、確かに来日してきた時期は描かれていませんでしたけど。私達の生きている明治十六年にやって来ているなんて想像だにしていなかった。
「……結局、誰だったんだ?」
「……今は善良な人です、多分……」
「斎藤に……いや、ダメだな」
やはりドクトル・バタフライやススハム達に描いて良い漫画を訊ねるべきなのでしょうが、既にもう不破信二に「バキ描いてくれ」やら「タフ描いてくれ」やら「ケンガンアシュラ描いてくれ」やら「餓狼伝説描いてくれ」やら、強い人と戦いたい欲求の話を受けているのです。
あの人は何処まで行っても修羅です。
「景、玄関は冷える。運ぶぞ」
「す、すみません」
「こういう時は『ありがとう』で良いんだよ」
「……フフ、ありがとうございます。左之助さん」
少し大変な事になったけど。
こういうこともドクトル・バタフライ達に相談しておけば対策を一緒に考えてくれる筈です。……ただ、「しろがね」がいるのなら錬金戦団は「
「しかし、そろそろ本格的に景を閉じ込める部屋を作るべきか悩んじまうな。座敷牢と寝室に縄で繋がれるの、どっちがいい?」
「私は左之助さんと手を繋いでいたいです」
何を言っているのかは分からないけど。左之助さんなりに私を守ろうとしてくれているんですよね。とても嬉しくて私は幸せです。