ドクトル・バタフライは真剣に思考を巡らせ、何かを考えている。ドラえもんのひみつ道具がラスボス対策に役に立つのだろうかと思い、かなり役に立つものが多いなとは納得するけど。
設計図を作ると、実物を造るのは圧倒的に違う。
「一先ずお医者さんカバンを試してみるか」
「武器じゃなくて良いんですか?」
「武器は核鉄だけで十分だよ。それにお医者さんカバンを用意しておけば糸色君の病を治す薬を自動的に判別し、最適の分量を配合するだろう?」
「……優しいですね、ドクトル」
私の身体の機微に一番詳しい主治医。この時代に彼がいなければ私はしとりを産んだときに亡くなっていて、私は左之助さんとしとりの悲しい思い出になっていたかもしれない。
それにしてもお医者さんカバンの設計図を描いても素材や材料を集めることは出来るのだろうかと首を傾げつつ、ドラえもんのひみつ道具の「お医者さんカバン」を素早く万年筆で描き、ドクトル・バタフライに差し出す。
「どうぞ」
「直ぐに仕上げるが、左之助君も糸色君も研究所で二日三日ほど安静にしてもらうよ。交易商に関してはBoy達に任せておけばいい」
ボーイ、長谷川君達ですね。
ニシン漁をはじめとした漁業組合の方達と話を繋ぎ、今は熊や狐、ウサギの毛皮を買い取り、最高品質の状態を維持できるアイヌ民族と協定を結んでいる。
ススハムがいるおかげで、そこは問題ないですけど。ウィクルがやって来た場合、どういうことになるのかは容易に想像できてしまう。
それだけは避けたいけど。
悩ましいですね。
「糸色君、先ずは薬を飲みたまえ」
「ありがとうございます」
薬包紙を受け取って溢さないように紙の縁に唇を添えて、苦くて嫌な味の粉末状のお薬を口の中に含み、ゆっくりとお水で流し込む。
やはりお薬はなれませんね。そう思いながらカプセル剤を手に取って、また同じように口に含み、お水で流し込んでいき、仕事に戻ろうとした瞬間、オーバーテーブルが外され、ドクトル・バタフライに「安静にするように」と釘を刺され、渋々と布団に潜る。
「ん!しとりもする!」
「おや、また着てしまったようだね」
「ナース服。とても可愛いですよ、しとり」
「んっ!!」
小さな白衣の天使の可愛さに、ほうっと吐息を吐いてベッドの傍にやって来たしとりの頭を優しく撫でてあげる。まだまだ遊びたい盛りなのに、お母さんが悪いことばかり引き寄せちゃってごめんね。
貴女は左之助さん達が守ってくれるから、安心して大きく元気に私みたいにならないように何処までも走っていけるように育ってほしい。