私のためにお薬や医療用の道具を作ってくれている忙しいドクトル・バタフライに来てもらい、左之助さんにも付き添いをお願いしてしとりの見つけた古びた刀の突き刺さっていた大樹を私達は訪れている。
「雨風に曝されて錆びてしまっているが、刃毀れは愚か錆を落とせば直ぐに使える状態だ。しとり君には声が聞こえるんだったか、今は何と言っている?」
「ん!きれ、たて、うばえ!」
「ふむ、紛れもなく妖刀だな」
ドクトル・バタフライの質問に元気良くハキハキと答えるしとりの言葉に、あのまま放置して帰った事は正解だったと安堵しながら「しとりは母ちゃんに似て悪いもんに見つかりやすいのか?」と呟く声が聞こえた。
そこまで取り憑かれやすい訳じゃない筈ですけど。そもそも糸色家は拝み屋や祓い屋みたいに幽霊をお祓いする事を生業とする一族なのは事実だけど。
私は
「柄が外れ掛けて……ほう、これは」
「な、なにかあったんですか?」
「銘か何かだろう」
「『我は斬る、友に紡ぐ刃の華、とこしえに戦場を』。随分と物騒な世辞の句を詠む男が居るようだが、左之助君と糸色君には覚えがあるだろう?」
「こんな馬鹿げた言葉を刻むヤツは少なくとも一人だけオレは知っている。それにしても戦国からの贈り物にしちゃ物騒すぎるぞ」
「……戦国からって、まさか戦骨ですか?」
もう戦国時代に行くことは無くなったと思っていたのに、戦国から妖刀を遺してくれたということになるのかな?と戸惑いつつ、しとりの身体を抱き締める。
「さて、この刀はどうしたものか」
「オレには蛮竜がある」
「わ、私は使えないですよ」
しとりを呼んでいたからしとりに持たせてあげるべきなのかも知れないけど。まだ三歳児のしとりに打刀、太刀にも思える長い刃物を持たせるのは絶対に反対です。
「一先ず、新井先生に研磨を頼んでおこう」
「新井って、新井青空先生ですか?」
「その質問はYesだ。君の結婚式に贈った包丁類は彼の鍛えてくれた一点ものだ」
私の包丁、そんなに凄いものだったんだ。
「左之助君、そういえばワンパクBoyの持っている焼けた刀は抜ける兆しはあるかね?」
わ、ワンパクBoy?
「明日郎の刀はまだ抜けてねえよ」
「えっ、長谷川君の事だったんですか?」
思わず、そう問いかけると「ウチで一番ワンパクなのはアイツだろ?」と言われて納得してしまった。長谷川君達はしとりの良いお兄ちゃんやお姉ちゃんなので、そういう風には考えたことありませんでした。