某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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泡沫に消える 序

「景、此方に来てくれ」

 

「どうかしましたか?」

 

「ちょっと気になったことがあってよ」

 

左之助さんに呼ばれて近付いたその時、彼の頭が私の胸に押し当てられる。薫さんにも似たことはされましたけど、そこまで信用無いんですね。

 

そう心の中で思う。

 

しかし、背広姿に鉢巻きを巻いているのは違和感が凄いですけど。相楽隊長さんをリスペクトして、今も尚尊敬している左之助さんらしいです。

 

よしよしと左之助さんの頭を撫でながら「何も痛いところはないですよ」と伝えても「お前はウソは下手だけど、隠すのは上手いから確かめる」と何故か自信満々に言われてしまった。

 

そこまで隠し事はありませんけど。

 

「……やっぱり心臓の音が弱くなってるな」

 

「そんなことないですよ?ほら」

 

ぎゅうっと左之助さんの頭を抱き締めて、しっかりと心臓の音が聞こえるようにしてあげると辛そうに私を見上げる彼と目が合って苦笑を浮かべる。

 

「左之助さん、約束したんですから」

 

「分かってる。だがよ」

 

「フフ、ドクトル達のお薬も有りますから絶対に治るって約束です。そうしたら、みんなでお花見やお祭りを一緒に行きましょうね」

 

「……約束だ。絶対に死なないでくれ」

 

「はい」

 

ゆっくりと抱き締める手を緩めて、お絵描きを続けているしとりに視線を向けると楽しそうに笑って、私と左之助さんとしとり、個魔の方、ドンと親分の描かれた家族の似顔絵を見せてくれた。

 

「ん!あげる!!」

 

「ありがとう、しとり」

 

やはり私の娘は天使です。

 

左之助さんだけで育ててくれたなら……ううん、ドクトル・バタフライ達が頑張って私を助けるために動いてくれているのに悲観的になるのはダメです。

 

「しとりは良い子です」

 

「ん!」

 

フンスと胸を張って自慢するしとりの頭を優しく撫でようとしたら、左之助さんに「今、母ちゃんはオレと一緒に居るから後だぞー」と意地悪するように笑って、しとりを撫でようとした手を掴まれ、あれよあれよと一瞬にして彼の膝の上に座らされてしまった。

 

「むうぅ!しとりもぎゅうする!」

 

「あ、あらぁ?」

 

大好きな二人に抱き付かれて、とても幸せな気持ちです。これが極楽浄土というものなのでしょうか?と自問自答を繰り返しながらお腹を傷付けないように私に抱き付いてきたしとりの頭を優しく撫でてあげる。

 

「左之助さん、意地悪はダメですよ?」

 

「たまには独り占めしたい時もある」

 

「しとりも!しとりもひといじめ!」

 

とんでもない言い間違いが聴こえた。

 

「しとり、ひとりじめです」

 

「ひといじめ!」

 

「う、うぅ~ん、あとで一緒にお勉強ですね」

 

まあ、子供だから舌足らずなのは当たり前ですけど。

 

 

 

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