ドクトル・バタフライの診察を受けて、お医者さんカバンの調合したお薬を頂きつつ、必ず口の中に注射器型のスポイトを差し込まれる事に恥ずかしさを覚える。
もっと普通の注射器など無いのかな。
そう襟元を正して帯を締め直しながら内心で思ったことを独り言のように考えて、左之助さんに貰った左手の薬指の指輪をなぞる。
「しかし、君はいつ診ても身体疲労は抜けていないな。もう食事の調理を行うことも辛いだろう?騙し騙しで隠す事にも限界がある」
「しとりはまだ小さいんです。しとりが大きくなったとき、お母さんの作った料理の味を覚えていて貰いたいという自己満足と自己的な押し付けですよ」
「……出過ぎた事を言ってしまったね。すまない。だが、私達は時代は違えど同胞であり、君は私の大切な善き理解者の一人なのだ」
常日頃、
「……あ、あれ?」
「私の動きと目的を瞬時に把握して、事前に受け取るという動作を行ってしまったようだね。ふむ、以前のように鼻血や血涙は出ていないが、瞬間的に未来予測の一種を使っている状態だ」
「い、いや、そういうのは欲しくないです」
「少し試してみよう。私の次の動きは?」
「
「これは中々に面白い現象だ。型月作品や他作品の漫画に登場する未来を予知する魔眼に相当する芸当、糸色君の場合は周囲の物や人の動きを瞬時に見極め、完璧に予測するタイプの魔眼と言える」
私の「特典」は「前世の記憶の保持」と「料理のスキル」の筈なんですけど。どうして、そこまで偏った進化を遂げてしまったのでしょうか。
「糸色君の目は
「加われば?」
「誰もが夢見る魔眼系ヒロインの誕生だね」
そんなものを夢見た記憶はありません。
そもそもド近眼の私に扱える魔眼なんて存在する方が奇跡に等しいと思うんですよ。だって、眼鏡が無かったら何も見えませんからね。
「ドクトルは私の眼が欲しいんですか?」
「とんでもないことを言うね。確かに君の『特典』の効果を最も受けている器官は眼球であり、そのまま移植して使える可能性は大いにある。が、私はLadyを傷つける野蛮な生き物とは違うのだよ」
そう言うとドクトル・バタフライは薬包紙を差し出してきた。カプセル剤だとしとりが誤って飲んでしまうと配慮してくれたおかげだ。