珍しくドアノッカーを叩く音を聞き、私は左之助さんと顔を見合わせて首を傾げる。ドクトル・バタフライやススハム達、他の人達は中庭に通じる道を柵の扉を使うことが多い。
一体、誰だろう?
「はい。どちらさ……お、お父様!?」
「全然孫を見せに来てくれないから総出で来てしまったよ!さあ、僕と頂に可愛い初孫を見せておくれ!あわよくばじぃじ呼びをいの一番にッ!!」
「阿呆!じぃじ呼びは俺が先だ!!」
そう言ってお父様に張り合うように飛び出してきたのは左之助さんの父親である東谷上下ェ門、その後ろにお母様、央太君、右喜さんが立っている。
そ、そういえば姿お兄様が来ると言っていましたね。
でも、こんなに直ぐに来るなんて想像すらしていませんでした。お出迎えの準備も何も出来ていないのに、どうやったら良いのかしら?
「景、誰が来て……なんで居やがる!?」
「「孫はそこかぁー!!!」」
「ん!父ちゃん、ごー!」
「な、なんだ!?なんだぁ!?」
ドタバタと外に走っていくしとりを抱っこしたままの左之助さんを追いかけるお父様とお義父さんのお二人を呆然と見つめ、お母様の香りで意識が戻った。
「お久し振りです、お母様」
「えぇ、お久し振りですね。……少し窶れていますね、何処か悪いのなら糸色家掛かり付けのお医者様に連絡するわよ?」
「いえ、大丈夫です。右喜さんも央太君もお久し振りですね、元気にしていましたか?」
「はい!景義姉さん、縮みましたか?」
「貴女が大きくなっただけですよ、央太君も大きくなりましたね」
「……どうもです」
どうやらまだ彼の恥ずかしがり屋なところは治っていないようですが、穏やかで爽やかな笑顔の似合う若い頃の左之助さんを見ているようで楽しいです。
みんなを家の中に招き入れ、いそいそと台所でお茶の準備をしていると勝手口の扉を開けて家の中に戻ってきた汗だくの左之助さんと彼の腕の中で「ん!ん!ん!」とキラキラした眼差しを向けるしとりがいた。
「えと、お帰りなさい?」
「お、おう、ただいま」
「ん!ただいま!!」
二人に手洗いうがいをするように言いつつ、お父様とお義父さんの分を除いて、全員分のお茶を御盆に乗せて持っていき、いつもの定位置に座る。
「悪いわね。急に来て」
「いえ、お母様達にお会いできて嬉しいです」
「それで、その子が貴女と左之助君の子供ね」
「はい。しとりという私達の宝物です」
「ん!しとり!!」
「あらあら、元気な女の子だこと。景似かと思ったけど、これは左之助君そっくりね。私は糸色頂、貴女のおばあちゃんですよ」
「しとりのおばあちゃん!!」
そう言ってクスクスと笑うお母様に抱っこされたまま嬉しそうに抱きつき、お父様とお義父さんよりも先にお婆ちゃんの称号を獲得しました。