「ん!ん!ん!」
「ハッハッハッ。しとり君、電光丸は危ないから返してくれるかい?」
「んーーーっ!!!」
しとりの元気の良い声を聞きつつ、ドクトル・バタフライに頼まれていた設計図を描く。いつもなら傍に居てくれる左之助さんは仕事もあるから、会いに来てくれるのは夕方か日の沈んだ時刻ばかりだ。
「母者、少し休んだらどう?」
「ありがとうございます、個魔の方。この設計図を書き終わったらお休みしますから、もう少しだけ待ってもらえますか?」
「私は母者の物書きに捧げる情熱は素敵だと思うけど。余り根を詰めると体調を崩す。目先の事より、更に先の事を考えて安静にしてほしい」
「……分かりました。個魔の方もすみません、心配してくれているのは分かっているんですけど。どうしても一つの事に没頭してしまう悪癖がありまして」
「それは知っているよ」
個魔の方の返答に申し訳なく思う。
「嬢ちゃんもドクトルに遊んで貰っているけど。影のパスは繋がったままだから、楽しそうにしているように見えてもまた母者が倒れるかも知れないと不安になっているんだ。だから、いっぱい甘やかしてやりなさい」
「フフ、そうですね。いっぱい可愛がって、うんと大好きだよ、愛してるって伝えてあげるのもお母さんとして大事なことですからね」
ゆっくりと身体を起こして歩こうとした瞬間、身体がふらつき、力が抜けて地面に倒れそうになるも慌てて、個魔の方が助けてくれたおかげで倒れていた。
「母者、無理はしないでちょうだい」
「……ごめんなさい。やっぱりまだ疲れているみたいですね、ベッドに運んで貰えますか?」
「いくらでも運ぶよ」
そう言うと個魔の方は私を黒衣に包み込んで、ゆっくりとベッドに寝かせてくれた。左之助さんのお姫様抱っこより安定しているように思えたのは内緒です。
ただ、やはり全身を包んでくれる能力というのは物凄い安心感を覚えますね。ごろつき長屋に住んでいたとき、不安から眠れずにいた私を心配してくれた左之助さんの腕の中を思い出します。
「あー、まだ影を解除してないから大好きラブコールがビッグウェーブみたいに押し寄せて来てるんだけど。ちょっと好き好きアピールしすぎじゃない?」
「そ、そんなに…!」
思わぬ指摘に熱くなる顔を両手で覆いながら「左之助さんには内緒にしてもらえると助かります」とお願いするも「筆談なら行けるわね」とニヤリと笑ってきた。
私の周りにいる人はいじめっ子ばかりです。
そういうのは悪いことなんですよ?