あのままエネルギードレインを受け続けるのは危険と判断した個魔の方に私としとりは黒衣の中に包まれて病室に戻り、個魔の方のお説教を受けた。
やはりと言うべきなのでしょうか。
すごく、物凄い疲労感と倦怠感に襲われて酸素マスクを着けて貰わないとまともに呼吸が辛い状態になってしまった。それに核鉄の治癒能力と生命維持に頼っている私は彼の復讐の対象とも言える。
「……でも、会えてしまった」
「誰に会ったんだ。浮気か?」
いきなり話しかけられたことにビクリと身体を震わせながら、ベッド脇の椅子に腰掛けている左之助さんの顔を見ると目の光が消えていた。
虚ろな瞳が私を見つめている。
最近の左之助さんは、よく荒んだ目をする。
お仕事で疲れているのかな?と思いながら左之助さんの頭を撫でてあげようと手を伸ばした瞬間、ぎゅうっと力強く手に握り締めて私の酸素マスクを外してきた。
「左之助さん?…ど、んんッ…?!…」
まだ呼吸も苦しいのに接吻してきた左之助さんに戸惑いながらペチペチと彼の背中を叩き、なんとか口付けをやめて貰う頃には酸素が抜け、頭が痛くて仕方ない。
「…けほっ…ケホッ、コホッ…なんでいきなり…」
「景はオレだけ見てれば良いんだ。それに弱ってる身体で遠くに行くのはやめろ、入院するまでずっと交易の場所に来てくれたのは嬉しいけど。苦しかったなら、辛かったなら、言ってくれよ」
…………それとキスに何の関係が?と聞こうとしたけど。なにかダメな雰囲気を感じ取り、コクコクと酸素マスクを返して貰いながら私は頷いた。
ドクドクと早まる心臓の痛みといつものように……コホン、少し強引に私の事を心配して注意してくれた左之助さんに戸惑うものの。
これも愛されている証なので嬉しくて笑ってしまう。
「……私は何を見せられているんだ?」
「オッサン!?」
「ど、ドクトル、これは、その」
「まあ、夫婦の愛情表現に指図するつもりはないけれど。左之助君も糸色君もベーゼをするときは安定した状態でしたまえよ。全く心臓に負担を掛けて」
「───ッ、悪い。無理にしちまったから」
「い、いえ、大丈夫ですから」
流石は主治医、診察しなくても分かるんですね。
「左之助君は部屋を出ていくように、如何に夫といえど診察中に文句や野次を飛ばされては困るからね。暫くしとり君と遊んでいなさい」
「分かった。しとり、父ちゃんと探検に行こうか」
「たんけん!」
楽しそうに病室を出ていったしとりと左之助さんを名残惜しく思いながら、私はドクトル・バタフライの丁寧な診察を受ける。