「武装錬金……まあ、出ないですよね」
ちょっぴり使えるかもという淡い期待を抱いて呟いてみたものの、私に武装錬金を形成できるほど強い闘争本能は無いし。生き残るために頑張っているけど。
私の身体にとって今は最も過酷な現状です。
ホムンクルスになろう。しろがねになろう。妖怪になろう。そういう誘惑を囁く声は聴こえるけれど。私は、一人の臆病で怖がりで泣き虫な人間のままでいいです。
強さは優しさです。
「母ちゃん、またよんで!」
「しとり、この本はダメですよぉ?」
「や!」
「……うぅ、お母さんの黒歴史なのに…」
どこに隠しても見つけ出すしとりの捜索能力の高さに驚きと悲しさを抱きつつ、私はしとりに「夏目友人帳」のお話を読み聞かせてあげる。
今までのバトル漫画と違って、此方は少女漫画の分類ですからバトルは控えめです。まあ、平成になったら妖怪と交流する話は必然的に増えるでしょう。
「母者、個人的には陰陽大戦記を描いて私を一族の式神にするというのは名案だと思うんだが、どうだろうか?個魔の中では強いよ、私は」
「そんなことしなくても個魔の方はもう私達の家族ですよ?ゲームが始まるまで名前を教えてはいけない決まりが無ければお名前を聴けるんですけど」
それさえなければ名前を呼べるのに、とても残念です。しとりは彼女の事を「こまちゃん」と呼んでいるので、親しみやすくて可愛い呼び方をしています。
「ん!おもしろかった!」
「フフ、それは良かったです。個魔の方はこれからもしとりやお腹の子、孫まで、これから先もずっと一緒に居て上げて下さいね」
「……その言い方は語弊を感じる。母者は健康になったら嬢ちゃんと妖逆門をクリアして、その身体を治して貰うってのはどうだ?」
「子供の願いは未来の現実です。私よりもしとりの叶えたい夢を叶えてあげるほうが、きっと妖逆門にいる妖怪達も幸せなはずです」
そう言って個魔の方の頭を優しく撫でてあげると「成る程、これが数多の相手を狂わせるよしよしか」と、よく分からない呟く彼女の言葉に首を傾げる。
まあ、そういう変な成分が入っているような言い方はやめて貰えると嬉しいです。私の手は優しくて良い子の頭を撫でてあげることと、みんなが希望を抱けるような絵を描くことにありますからね。
「ん!しとり、これほしい!」
「どれですか?」
「ん!ん!」
「友人帳が欲しいなら作ってみますか」
そう言うとしとりの目はキラキラと輝き、まるで女神様を見つめるような眼差しで、私の事を静かに見つめているからです。