「ふんっ、んんっ!」
「……景、全然上がってねえぞ」
「そ、そんなはずは!?」
そう左之助さんに指摘された瞬間、慌てて手元の刀の柄を見るも全く持ち上がっているようには見えず、左之助さんとしとりは楽々と持ち上げる刀の柄をペチペチと叩いてみるものの。
あまり意味は無かったです。
サンピタラカムイ様の訪問後、刀の柄と古びていた刀の手入れを終えたドクトル・バタフライの持ってきた刀は私には持ち上げる事は愚か掴むのも難しいものでした。
「しとり、振っちゃダメですからね」
「ん!」
しとりとお散歩しているときに、見つけた古びて錆び掛けていた刀は綺麗に手入れを受け、鏡のように人の顔を反射させています。
「母ちゃん、こえきこえる!」
「やっぱり妖刀ですしょうか?」
「戦骨がどの妖怪を素材に使っているのかも分からないのが怪しいんだよな」
そう言うと左之助さんが刀の柄を握り締めると刀は鳴動を始め、キィンッ、キイィィンッ、と刀の鳴く音がハッキリと聴こえる。
なにかダメな様な気がします。
「……首を斬れって、女房と娘を斬る男がいるかよ」
しかし、私の不安はあっさりと打ち消された左之助さんは左之助さんのまま妖刀の支配を無視した。流石です、凄いです!左之助さん、かっこいいです!
「しとりも鞘に納めような」
「ん!さや!」
左之助さんに促されて彼と一緒に鞘に刀を納めたしとりはフンスと胸を張って、私の事を見上げるので優しく彼女の頭を撫でてあげる。
こうして、しとりの小さくて可愛い頭を撫でるのは大好きです。この子が生まれてから毎日のように頭を撫でてあげているけど、すくすくと元気に育ってくれて私はとても嬉しいです。
「左之助さん、刀を離さないんですか?」
「いや、オレもすぐに離したいんだけどよ。手に柄巻きが絡み付いて離れねえんだよ」
「……気に入られたんでしょうか?」
「オレは鉾使いだ。諦めろ」
「めっ!」
二人に怒られた妖刀は渋々といったように拘束を緩めて、左之助さんの右手を解放し、しとりは「ん!だっこして!」と両手を使えるようになった彼に飛び付き、ニコニコと嬉しそうに笑っている。
羨ましいです。
私もベッドから立ち上がって近付けるなら抱き付きたいけど、しとりと左之助さんの負担になるかも知れないから直ぐには抱き付けないのです。
「おや、試し斬りはしないのかね?」
「オッサン、危うく片手を持っていかれ掛けたぞ」
「その時は無料で手術してあげよう」
「ドクトルの腕前なら大丈夫でしょうが、左之助さんも危ないなら避けて下さいね」
「「一番それを言われるべき相手は
……そ、そんなことはないはずです。