未だドクトル・バタフライの研究所内の病室を借りている私の核鉄は浮遊して動いたり、謎の動きを繰り返すことは増えている。
それに新井先生の研いでくれた妖刀も何故か私のことを酷く嫌っているらしく持ち上がらず、蛮竜の鼓動も最近は聴こえる。
その近くに妖刀も浮遊している。
最近、動いて浮く物を良く見掛けますね。
ふとベッドの影から浮き上がるように現れた個魔の方は鮮やかで綺麗な赤色の撃盤を差し出してきた。これは、いつかにしとりが使っていたものですね。
「母者、撃盤に触れてくれないか?」
「それはしとりの物なのに良いの?」
「少し試したい事があるから、母者の力を借りしたいんだよ。私としても可能性を広げるために、やれることはやっておきたいからね」
そう言うことならばと撃盤を受け取った瞬間、私の身体から何かが弾き出された。幽霊、ドッペルゲンガーというわけではないですが、なんでしょうかこれ?
「影法師、ちょっと撃盤に封じ込めた私の妖気をそのまま意思を持たない母者の代役を務める人形に作り替えたってわけさ」
「さらりと凄い事を言いますね。それに人形とのことですが、どうやってお願いをするんですか?」
「そりゃあ、糸に決まっているでしょう」
にっこりと笑顔を私に向けた個魔の方は私の手足の指に指輪を嵌めていき、目の前にいる私自身に似せて作られた人形。動かすように言ってきた。
「……やっぱり怖いので無理です」
「そうか。残念だ、マーク2とか3とか作って父者のところに送り込んで反応を楽しみたかったけど。今回は諦めるとしよう」
私を心配してくれていたのか。はたまた、本当にちょっとだけ試したい事を試すために私の影法師を作ってしまったのだろうかと首を傾げる。
「左之助さんに送るんですか?」
「ちょっと見たくない?」
「……見せるだけなら良いですけど。変なことはさせないでくださいね?」
そう言って不安になりながらも妖怪らしく楽しそうに悪戯を仕掛けに行った個魔の方が、いきなり影法師の私を呼び出した瞬間、左之助さんの動きが固まった。
しかし、すぐに影法師を殴り倒して、怒った顔で此方に来るのでカーテンを閉めるも窓の鍵を閉めるには座ったままでは手が届かず、左之助さんが病室の窓を力任せに開けて見下ろしてきた。
「お前、次にやったら閉じ込めるぞッ!」
「ひえっ、す、すみましぇん……」
私は何もしてないのに、なんでぇ?