「景、昨日は悪かった」
「べつに怒っていないですよ?」
私の事を胡座を掻く足の上に乗せてお腹を暖めるように抱き締めてくれる左之助さんの優しさは嬉しいですが、しとりを抱っこしているので危ないです。
物凄く嬉しいですけど。
「母ちゃん、あそびたい!」
「はい。いいですよぉ?」
「ん!これやる!」
「……箱か?」
ズン!と机の上に置かれたものを見て、頬が引き釣ってしまった。おそらくこれを日本に持ってきたのは姿お兄様なのでしょうが、絶対にやらかした人は戦骨だと分かるものばかりです。
黄金の柩に見える箱を開け、黄金の欠片を取り出す。
「黄金の欠片ばっかりだな」
「(それは千年パズルだからです。いえ、私は別にファラオの魂とか欲しくないですが、これを組み立てるのは流石にダメな気がします)」
「ん!やって!」
「左之助さん、どうぞ」
「オレがやるのか。まあ、やってみるけどよ」
左之助さんは欠片を一つずつ確かめるようにくっ付けているものの。カッチリとピースは嵌まらず、首を傾けながら「どうやるんだ、これ?」と呟く。
ファラオの意志を受け継ぐのです。
……しかし、このアイテムを姿お兄様が持ってきた事は自明の理ですけど。しとりに手渡して、私に会わずに帰るとは思えないんですよね。
「しとり、やってみてくれ」
「ん!えとね、こう?」
「いや、オレに聞かれてもなあ…」
私を縦に挟んで話す父娘のやり取りを聞きつつ、ずいっと差し出されたパズルのピースを受け取る。最後は私の番ですか。まあ、私にも解けるわけが……。
────嗚呼、組立手順が見えてしまう。
「景、どうかしたのか?」
「母ちゃん、あたまいたいの?」
「い、いえ、ちょっと目眩がしただけです。左之助さんもしとりも心配してくれて、ありがとう。このパズルはお母さんは難しいです」
「むう」
「そうか。景でも無理か」
無理か出来るかで言えば出来ます。
しかし、絶対に良からぬものがありますよね。分かっていますよ、これを完成させたら中に封印されていたファラオならぬ戦骨の魂が私に乗り移るんでしょう。
それだけは絶対に嫌ですよ。
「……あっ、嵌まった」
「(戦骨、普通に矛先を変えましたね!?)」
確かに左之助さんは最高に強くて格好良いです。ガン・ブレイズ・ウエストにも参加していましたし、白面の者にも対抗できますし、戦国時代でもかなり強いと貴方に見せつけましたけど。
そういうのは倫理的にダメだと思います。
身体を乗り移るのは絶対にダメです!