戦国時代最強の人間を知っている転生者であれば必ず戦骨と答えるだろう。その理由は幾つか存在するけど、私の知る限りで彼ほど戦いに執着している人は、四百年不敗を貫く不破信二だけだと思う。
その戦骨の魂を封じ込めた千年パズル擬きの完成する手順と道筋の見える私には彼の考えていることが分からない。彼は死ぬまで戦っていたのか、それとも彼は死んでも戦いたいのか。
もはや戦闘に生きる兇鬼だ。
「うしおととら」と「犬夜叉」の他に「妖逆門」、ひょっとしたらしとりに読み聞かせている「夏目友人帳」も加わり、多種多様な妖怪と戦える現実を謳歌するために、新しい肉体を求めているのかも知れない。
「(まあ、私の貧弱で脆弱で虚弱な身体を乗っ取ったとその瞬間、絶対に気絶すると思いますけど。呼吸は苦しいし、目眩や吐き気は常にあって、心臓も肺も痛み、お腹の子を育てているので悪阻もありますからね)」
「景、そのパズルってヤツは組み立てねえのか?」
「はい。私には難しいですから」
「そうか」
そう言って私の隣に腰かけた左之助さんは長谷川君達を連れてお見舞いに来てくれ。久しぶりに会える三人にしとりも喜んでいるのですが、井上君と久保田さんが千年パズルに興味を示してしまっています。
二人ともお金になるものは大好きですもんね。
「景ちゃんさん、これ欲しい!」
「金塊!換金したら大金持ちに!」
「三人でも食っていける分が出るぜ!」
「ん!ん!」
ずずずずいっと迫ってきた四人に驚きながらも左之助さんをチラリと見上げると「景の好きにしていいぞ」と言われ、少しだけ悩んだものの、千年パズルの事を分かりやすく教えてあげる。
「まずそのパズルは小分けにして売ろうとしちゃダメな物です。そのパズルを完成させると願いが一つだけ叶うなんて噂もありますが、正確にはパズルの中に封印された兇鬼の願いが叶います」
「きょーきってなんだ?」
「刃物や銃の事よ、多分」
「いや、狂った気性の事かも」
「ん!わかんない!」
「分かりやすく言えば戦国時代に生きていた最強の人間の魂が身体に入り込んで妖怪と戦いたくて貴方達の誰かに取り憑くことになるわね」
そう言うと三人の視線が黄金の柩に注がれる。
「いわゆる呪いの宝というものです」
「景、そんなことオレは聞いてねえぞ?」
「……左之助さん、言葉に出すことも怖かったんです。もしも作り方が分かるなんて言ったら、左之助さんが完成させるかも知れないと思って……」
「えっ、景ちゃんさん作れるの!?」
説明するときに余計な事を言ってしまった。
「久保田さん、流石に作れませんよ?」
「ちぇーっ、会ってみたかったのに」
戦骨に会いたいなら家の大黒柱(時代樹の精霊付き)にお願いしてみるのが良いと思いますよ。運が良かったら戦国時代に連れていってくれます。