某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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暫しの退院と進展 破

土方歳三の所在を既に掴んでいる新撰組の二人はどうやって救出するべきかを話し合うためにニシン蕎麦を食べ終わるなり、鷲塚慶一郎の元へ向かってしまった。

 

自分の身体に負担を掛けると分かっているくせに良いところを見せようとして本当に情けない性格です。

 

斎藤一と永倉新八の二人であれば救出は可能でしょうが、剣術指南役に就いた永倉新八のほうが情報収集には適している。

 

「どこでそういう知恵を拾ってくるんだ?」

 

「ただ、知っているだけですよ?」

 

左之助さんの問いかけにそう答えると「オッサンが前に話してた景の神通力ってヤツか」と静かに呟いた。ドクトル・バタフライの言葉なんでしょうけど。

 

私は神通力なんて持っていないです。

 

他の転生者、例えばススハムは最速の脚、不破信二なら不敗の肉体と業、ドクトル・バタフライなら「統一された世界」を統括する頭脳と肉体のスペックを兼ね備えるという規格外です。

 

私なんて普通ですよ。ちょっと記憶力とお料理が得意で、物書きをしているだけですから。

 

「しとりもそう思うよな?」

 

「?」

 

「まだ分かんないよなあ」

 

「フフ、心配しなくても大丈夫ですよ。神通力なんて持っていなくても私は左之助さんとしとりとお腹の子とずっと一緒に居ます」

 

そう言ってしとりを抱き上げ、左之助さんを見上げると一瞬だけ驚いた表情を浮かべ、すぐに笑顔になりながら「当たり前だろ。お前としとり、次の子が生まれてもずっと一緒だ」と言ってくれた。

 

「しかし、新撰組なんてお前の生まれる前だろ?」

 

「……まあ、知る方法は沢山あるので」

 

左之助さんの疑問に苦笑を浮かべる。

 

「前世の記憶の保持」のおかげで、今まで新撰組関連の漫画や小説、伝記、歴史書等々の物を読み、ドラマやアニメも見ていましたから、多少なりとも知っている側であることは間違いないですが。

 

ここは「統一された世界」なので私の知らない新撰組の可能性もある。まあ、この世界は真選組じゃないので天人が攻めてくることはないですね。

 

「眉間に皺が寄ってるぞ」

 

「あ、すみません」

 

トントンと自分の眉間を突いて教えてくれた左之助さんに謝りつつ、彼に支えて貰う腰を掴んだ手の大きさと自分の手の大きさを今更ながら比較してしまう。

 

大きくて力強い手です。

 

私も鍛えたらあんな風に大きくてしとりを簡単に片手で抱き上げることが出来るようになるのだろうか。そう思いながら左之助さんを見上げてしまった。

 

「今日はずっとオレの顔を見てくるな」

 

「フフ、左之助さんは格好良いですから」

 

「ん!父ちゃんかっこい!」

 

「……お、おう」

 

あ、照れてますね。そこは可愛いです。

 

 

 

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