また、新しいものが届いていた。
今度は木箱ではなく綺麗な数珠と矢尻、言霊の念珠と破魔の矢の物かと熟考しながら刃引きされた破魔の矢には紐を通せる穴が開いていて、最初から首飾りに出来るようになっている。
「しとり、これ欲しいですか?」
「おー、キラキラ!」
「危なくないか?」
「しっかりと刃引きはされていますし。一応、巾着か御守り袋を被せておけば安全だと思います。誰が送ってきているのかは分かりませんが、邪な気配はありません」
そう言いながら左之助さんに言霊の念珠を掛けようとしている自分の行動に気がつき、慌てて両手を引いて「すみません。こっちはダメです」と伝える。
左之助さんは不思議そうに首を傾ける。
「ただの数珠じゃねえのか?」
「えと、まあ、はい」
「嘘は吐かないのは良いことだな。で、どんな風に悪いのか教えてくれるよな?」
「……教えても変な事に使いませんか?」
「使わねえよ。いや、そもそもオレからすると数珠を変な事に使えるのか?としか言えないんだが」
そう言いながら私の持っていた数珠を手に取って眺める左之助さんに言霊の念珠の事を分かりやすく説明し、暫しの沈黙の後、徐に左之助さんは私に数珠を掛けた。
「左之助さん?」
「お、おお、悪い、直ぐに外す」
流石に怒ってしまいそうになりつつも言霊の念珠を外して貰い、お腹の子に何かあったらどうするつもりだったのかと真剣にお説教し、ペチペチと彼の腕を叩く。
独占欲の強さは嬉しいですけど。
私以外に危害が及んだり巻き込むのはダメです。
ま、まあ、本当に嬉しいですけど。
「ん!母ちゃんできた!」
「あら、上手に長さを調整できたのね」
「ん!あとね、あとね」
「フフ、ゆっくりで良いですよ」
「これ!」
しとりの差し出すものを受け取り、その古びた紙を見る。私は気付かなかったけど、おそらく矢尻の中に収めていた手紙なのでしょう。
『時代樹に頼み、必要な物を送ります』
「…………(どっち?時代樹と関わるということは三人の巫女を思い出せるけど。一体、誰が肉つきの面を送り込んできたの?)」
『面は送りました。供養、頼みます』
「椿さんですね」
封印しているとはいえ危険なので旭川のお寺に送って貰い、封印と退治をしてもらえるとは思うけど。この時代に黒巫女の椿より強力な霊能力者はいない。
日崎御角も居るでしょうが、しとりと同年代か少し年下の可能性もありますからお手伝いしてもらうわけにもいきませんからね。
椿さんはわざと送ってきたのか。
いえ、この場合は戦骨の作戦でしょうか?