言霊の念珠は時代樹様の分霊の宿っている大黒柱に納め、あまり危険な事は起きないように願いつつ、我が家を守ってくれるようにお供え物を増やす。
「私は精霊だ。供物は必要としない。が、お前の作っていたクッキーは美味であった。また作ってくれると私も嬉しいぞ」
「ん!しとりもたべたい!」
「母者、私も食べたいわ」
いつの間に居間の中に座っていた時代樹様の言葉に賛同するようにしとりと個魔の方も手を上げ、私にクッキーがほしいとおねだりしてきた。
まだちょっとだけ早いですけど。
そろそろ三時のおやつを食べる時間ですね。
でもお昼ご飯を食べた後なのに、三人ともおやつは食べれるのだろうかと首を傾げながら、作り置きしていたクッキーを取り出して、大皿に移して居間に持っていく。
「紅茶とお茶、どちらにします?」
「私はお茶を頼む」
「紅茶で」
「ここあ!」
三人の言葉を聞いて二つのティーポットをコンロに置き、火を起こして沸き立つのを待ちつつ、しとりのココアを作るために粉末状のココアパウダーをマグカップに投下し、核鉄の熱を利用してヤカンに入れたお水を温める。
「出来ま、した…よ?…」
飲み物を作り終えると既にクッキーは無く、三人とも食べるのが早いのでは?と驚く。いえ、しとりはクッキーの滓を落とさないように、ゆっくりと丁寧に食べていますから犯人は個魔の方か時代樹様ですね。
そう納得しながら三人の前に飲み物を置く。
「しとりはお砂糖、何個にする?」
「ん!」
左手を開いて差し出すしとり。
五つほど角砂糖を摘まみ、ティースプーンで優しく掻き混ぜて砂糖が溶けきったことを確認して、しとりに手渡してあげると小さな口で、ふうふうと吐息を吹いてココアを美味しそうに飲み始める。
とても可愛くて素敵ですね。
左之助さんにも見せてあげたいのでスケッチを開始すると個魔の方に「母者は本当に嬢ちゃんのことが大好きなんだな」と笑い、時代樹様も「良き母ではあるが過保護になりすぎるのはやめておけ」と注意を受ける。
しかし、しとりが可愛いのは仕方ないです。
「可愛いは免罪符じゃないぞ?」
「個魔の方も私の心を読みますよね、たまに」
「分かりやす過ぎるんだよ。もっと嘘を吐けとは言わないけど、嘘も方便というように使えるようになっておいて損はないと思う」
そう言われても嘘を吐くのは苦手で、顔に出さないようにするように言われても出てしまうし。親しい間柄なのに怪しまれることも多いんですよ?
一体、どうすればいいのでしょうね。