某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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糸色景の存在 序

最近、視線を感じることが増えた。

 

北海道の函館は人通りや人口も多い分、私の素性を知っている人も多く存在しているということは分かっていますけど。少し、私を見つめる視線に違和感もあります。

 

まあ、なんだか達人のように語っていますけど。単純に怖がりで臆病なので視線に人一倍敏感であり、そういう気配を感じやすいというのもあるわけです。

 

「母者、見てるのは術者ばかりだぜ」

 

「……術者って、霊能力者ですか?」

 

「大体はそうだけど。妖怪のヤツもいる」

 

何故、妖怪までもが私を?と首を傾げていた瞬間、しとりに伸びてきた手を左之助さんが弾き、そのまま見事に殴り飛ばしてしまった。

 

「人様の家族に手を出すなッ!!」

 

それはもうすごい見事なアッパーカットでした。

 

しかし、彼らの目的は何なのだろう。

 

霊能力を使える人にとって、ただ見えるだけで倒したりする力も逃げる足も遅い、体力も無ければ視力も悪い私を捕まえたところで意味はあるのかしら?

 

そう疑問を頭の中で整理しながら喧嘩だと騒ぎ始め、ワイワイと楽しそうにはしゃぎ出す外野の言葉を無視して、左之助さんは迫り来る術者を倒していく。

 

久々の喧嘩に左之助さんも滾っているご様子です。

 

「一色景だな。我らに着いてきて貰おう」

 

「あ、人違いです。私、相楽です」

 

「ん!さがらしとり!」

 

「なに?……しかし、人相書きと瓜二つだが?」

 

「いえ、よく見てください。私と人相書きの一色景?という人は似ていないですよ。ほら、ここに黒子なんてないでしょう?」

 

「……確かに、ないな」

 

私の言葉に納得した人は間違いを認めて謝ってくれたものの、左之助さんは向かってきた人を手当たり次第に叩きのめしてしまったらしく、とても清々しいという表情を浮かべていた。

 

「景、しとり、大丈夫だったか?」

 

「ん!だいじょぶ!」

 

「私も平気です。あと勘違いだったそうですよ」

 

「勘違いで狙われたのか、お前」

 

呆れたように溜め息を吐く左之助さんの顔に飛び散った返り血を拭き取ってあげ、最近は喧嘩や妖怪を見ても怯えて足が竦む時間が少なくなったような気がする。

 

二十歳でようやくビビリを克服したのかな?

 

「左之助さん、手を怪我してます」

 

「ん。ああ、これも返り血だ」

 

「ん!ん!いっしょ!」

 

「?ああ、んっ。だな」

 

「ん!」

 

しとりの「ん!」は口癖ですけど。

 

ひょっとして、左之助さんから?と父娘の遺伝だったら素敵だなと思いながら私にももっと似てくれたら嬉しいと思い、左之助さんと一緒にしとりの手を握って歩く。

 

 

 

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