一色景という私の偽者なのか別人なのかも分からない女性と間違われてしまった。情報が五年前で止まっている可能性もあるけど。
私のお鼻には黒子はないです。
いえ、墨が滲んでそういう風になったのかもしれませんけど。そう考えると明らかに可笑しい部分も多く、まず人相書きの女性はふくよかでした。
私はしとりのおかげで胸は多少なり大きくなったものの、あの様な峰不二子や井上織姫みたいなダイナマイトなボディーじゃないです。
「(そもそも糸色は旧姓ですし。今更、そちらの名字でさがすということはお父様かお母様、姿お兄様に関わる出来事なのは間違いないでしょう)」
───もしくは、また私の身柄を狙う組織か。
でも、私を狙っているわりに私の顔や家族構成を詳しく調べていないですし。本当に別人と間違えていたという事もあり得そうですね。
「景、ちょっと良いか?」
「はい。どうしました?」
左之助さんに呼ばれ、仕事の手を止めて縁側を見る。
「しとりがまた変なのを引っ張り出してきてよ」
「ん!あげる!」
「……えっと、これは……」
しとりの差し出すものに首を傾げ、左之助さんを見上げるも左之助さんも分かっていないもののようですが、これは土偶の一種かな?
「埴輪、土偶、どっちでしょうか?」
「分かるのか。すげえな」
「一応、ですけど」
「ん!ドンとおやぶん、ほしい?」
そう言ってしとりは縁側に敷物のように寝そべっているドンと親分の二匹にソレを見せると目を開け、じーーーっと土偶の事を見つめている。
「気になってるな」
「土偶ですからね」
「ほしい?」
土まみれの土偶を差し出すしとりにフスフスと鼻を鳴らす二匹。警戒はしていないけど、知らないものを見つけた動物の可愛い反応ですね。
ひょっとして、この土偶を探していたり。
流石に、それはないですね。
「左之助さん、中庭に何か見えます」
「どぐう、だろ?」
「いえ、あれは埴輪です」
「……違いが分からねえ」
まあ、見た目は違いますから覚えておけば間違えることは無いでしょうけど。埴輪も土偶も明治時代に見つけても反応に困りますからね。
「(しとりの人を惹き付ける資質は左之助さんの遺伝なんでしょうが、人間や妖怪、幽霊、神様も引き寄せてしまっているように感じる)」
「景、また変なこと考えてないか?」
「左之助さん、いつも思いますけど。どうして、私の考えていることが分かるんですか?」
「どうしてって、お前の旦那だからな」
…………恥ずかしいけど、嬉しいです。