しとりの後ろをこっそりと着いていく見守りを続けつつ、斎藤一に護衛……いえ、もう監視に思えるほど周囲を警戒され、逆に目立っている。
個魔の方、ドンと親分は気付いているけど。
しとりは楽しそうに交易場に入っていき、屈強で強面な方々に元気の良い挨拶を繰り返して、左之助さんのところに向かって歩いていく姿を見届け、私は安堵の吐息をこぼす。
良かった、しとりも一人でお使い出来ましたね。
「糸色、この前の喧嘩騒動にいたのはアイツらか?」
「え?……はい、あの人達です」
斎藤一の言葉に一瞬驚き、目を凝らして見つめると法衣や笠を被った人達を人混みの中に見つけ、コクコクと小さく頭を縦に振って斎藤一の質問に答える。
でも、どうして人違いだったんじゃ?
そう首を傾げながら考えていると「相楽のところに行っていろ。俺はアイツらに話を聞く必要がありそうだ」と言い、斎藤一は人混みに入っていく。
「ん!みつけた!」
「あ、あらぁ……」
「母者、尾行するのは良いが最後まで隠れる事を覚えておいたほうが良いぞ?父者が『母ちゃんなら彼処で見てるぞ』と言った瞬間、猛スピードで走り出したからね」
「そ、そうですか。しとり、お父さんのお弁当を届けるお使いを一人で出来て偉いですよ」
「ん!ん!もっとなでて!」
よしよしと彼女の頭を撫でる手の動きを少しだけ早め、嬉しそうに目元を細める彼女の可愛さに、屈強で強面な男の人達もにっこりと笑っています。
やはり、可愛いは正義ですね。
「景、斎藤と一緒にいたがどうかしたのか?」
「あの人違いの人達がまだ居たんです」
「何もされてねえよな?」
「?はい、大丈夫でした」
左之助さんは私の顔や頬を触り、うなじを見てきたりとよく分からないことをしながら、なんだか大事に想われていることだけは理解できました。
しかし、どうしましょう。
「左之助さん、お弁当を食べて欲しいです」
「おう、ありがとうな。しとりが持ってくれたからな、父ちゃんと一緒にお弁当食べるか?」
「ん!たべる!!」
「お前らも昼飯にして良いぞ!」
その言葉で作業していた男の人達は肩や腕を伸ばし、ワイワイと楽しそうに雑談したまま食事処を求めて歩き出す。その中には井上君や長谷川君、久保田さんも混ざっている。最近、お弁当は大丈夫と言っていたのは、そういうことだったんですね。
確かに、他の人達と交流するには食事を一緒にするのが効率的です。……こういう言い方はよく無いわね、お友達を作るには食事を一緒にするのが一番です。
うん、こっちの方が良いですね。