今回の私の役目は不破信二の身元引受人であり、犬童四郎助の押収した女傑族の秘宝を返して貰うこと。ただし、あくまで私の役目である。
斎藤一と永倉新八と鷲塚慶一郎の三人の目的は土方歳三の安否を確認し、ご本人であったなら出所の伝を繋ぐことだそうですが、あの歪んだ支配欲を持つ犬童四郎助が簡単に土方歳三を手放すとは思えない。
「ゴールデンカムイ」の作中でも彼は樺戸集治監に幽閉していた土方歳三を自分の栄転と同時に網走監獄へと移送し、彼の人生を惨めな囚人として潰える瞬間を楽しもうとしていた変態さんです。
「あの食い逃げ犯の身元引受人が、まさか日本一の絵描きと持て囃される糸色景とは驚きだな。しかし、連れが随分と物騒な面子のようだが?」
「い、いえ、この人達は私の夫のお友達で監獄に行くと伝えたら護衛を引き受けてくれたんです。その、私には血筋的な物も絡みますから……」
「フン。まあ良いだろう」
意外とワイルドなお髭の犬童四郎助の言葉に戸惑いつつ、お友達の代わりにやって来た事を説明するも彼の視線は私ではなく私の後ろに控える三人に向く。
今すぐ左之助さんに会いたい気持ちになる。
しかし、私の病気を治すために必要な秘宝を受け取るには直接会いに行って、不破信二の身の潔白……食い逃げに身の潔白はあるのでしょうか?
そう静かに悩んでいると牢屋の前に辿り着いた。
「おい。不破、お前の身元引受人が来たぞ」
「まだ芋粥食ってるから待ってろよ、ハゲ」
「禿げとらんわ!!」
不破信二のナチュラルな罵倒に怒鳴り声を発する犬童四郎助の怖い声にビクリと身体を強張らせ、ギュッと近くに立っていた斎藤一の袖を掴んでしまう最中、永倉新八は「ブフッ!……ゴホッ、ゴホンッ!」と吹き出しながらも笑うことを我慢している。
「なんだ、糸色が来てくれたのか」
「はい。私が来ましたよ、不破さん」
「ハゲに治療用の道具取られたから返して貰ってくれよ?あれがなかったらドクトルも手術するのは難しいって言ってたからよ」
「こう言っていますけど。犬童さん?」
犬童四郎助の事を見ると身に覚えはないという表情を浮かべながら「あとは好きにしろ。看守長、不審点があれば直ぐに報告しておけ」と言い残して、監獄長の執務室へと向かってしまった。
おそらく女傑族の秘宝もそこでしょうね。
「糸色先生、自分にサインを!」
「えっ?ああ、はい。いいですよ」
ささっと手帳を差し出してきた看守長に驚くも般若に比べると怖くなかったので手帳にサインを書いてあげると嬉しそうに小走りで自慢しに行った。
あの、私達を置き去りにしていますよ?