「うむ、実にExcellentな見た目だ」
「一苦労だったんですよ?主に不破さんが」
「いやー、俺は岡田以蔵ぶりに楽しめる相手に会えて満足したぞ?まあ、女傑族の奴らにキスされたり攻撃されたりしていたけど」
それは同性の場合は死の接吻、異性の場合は結婚する相手ということになるんですが、この人の起こした騒動ですので私は無関係ですね!
藪をつついて蛇を出すという諺もありますし、下手に関わって大変な事件に巻き込まれるのはイヤです。ようやく心肺を治す事が出来るようになったから、左之助さんとしとりにも安心して貰える。
「あとは斬毒刃をメスに加工して手術できる状態まで糸色君が回復するのを待つだけだね」
「そうですね。がんばります」
フンスと胸の前で拳を握って頑張るという意思表示を行う私の顔を足元にしとりが駆け寄ってくるなり、私が転ばないように優しく抱きついてきた。
「ん!しとりもがんばる!」
「フフ、ありがとう。しとり」
「ん!んへぇ……」
にへらと可愛らしく笑うしとりの頭をよしよしと撫でていると不破信二が「子供か。俺の兄弟にも子供は居るけど、不破を継がせるには力不足なんだよな」と呟き、腕を組んで悩んでいる。
いっそのこと女傑族に行けば宜しいのでは?と思ったことを言いそうになる口許を手で押さえる。うん、やはり「特典」の性能の良さがまた出始めている気がする。
「ドクトル、また此方も頼めますか?」
「三度目は危険と言ったはずだが?……いや、抑圧が外れているわけではないな。糸色君、どうやら君はシンプルに確定予測を行った様だ」
「確定予測って、次に起こり得る出来事を瞬時に何通りもシミュレーションして最も可能性のあるものが目の前の出来事とリンクする、あれですか?」
「うむ。その通りだ」
牛山辰馬の出現は「特典」の防衛反応ではなく私の記憶と起こり得るパターンを瞬時に導き出しただけ。
───つまり、それだと私は数手先の行動を予測する目を持っているということになる。私はバトル漫画に登場する『戦うヒロイン』ではないんですが?
「何言ってるのか分からねえ。お嬢は分かるか?」
「ん?えとね、わかんない!」
「だよなあ」
「分かりやすく言えば信二君は戦うときに相手の行動を予測するだろう。それを彼女は何十、何百、それを脳内で瞬時に繰り返して最適の行動を行えるということだ」
「おお、強そうだな!やるか?」
「ひっ、殺す気ですか!?」
あまりにも普通に訊ねてきた不破信二の言葉にビクリと身体を震わせ、ドクトル・バタフライの後ろに隠れるとしとりも私の真似をして彼の背後に隠れる。
「今のは信二君が悪いぞ」
「……ごめん……」
しゅ、修羅の言葉は不安になるのでやめて下さいね?