夜の七時頃。
ドクトル・バタフライの研究所を退出して、やはり近代的な見た目の家に違和感を覚える家の居間で夕食を食べ終えた私はしとりと遊んでいる左之助さんに手術用の道具が整い始めてきた事を伝えると安堵したように息を吐いて、近付いてきました。
ゆっくりと私の事を傷つけないように抱き締めてくれた。これで、左之助さんと一緒にしとりとお腹の子の成長した姿を見ることが出来ます。
「……ところで、監獄に行ったよな?」
「え?あ、いや、それは」
「ん!しとりもいきたかった!」
「「それはダメ」」
「むぅ!!」
私を見つめる目がドロリとしたように感じたものの、しとりの一言に私と左之助さんは少しだけ語気を強めて、しとりのお願いを諌める。
もっと、別の場所にしましょう。
海は左之助さんへお弁当を届けるために何度も言っているので少し見飽きているかもしれませんが、山や川は春になれば美しく綺麗な場所も幾つもあります。
アイヌのススハムに聞けば色々な場所を教えて貰えるかもしれませんし。しとりもお絵描き以外にもドンや親分と楽しく遊べるはずです。
「左之助さん、末永く宜しくお願いします」
「ああ、此方こそ末永く宜しく頼む」
「ん!しとりもよろしくする!」
「しとりにはまだ早いぞぉ?父ちゃんはしとりを嫁にやるくらいなら相手のガキを殴り飛ばして、諦めるまで殴るかも知れねえからなあ」
「あ、あはは……(本当にやりそうなんですよね)」
いえ、そもそもまだ三歳児のしとりにお嫁さんに行くというものは分かっていないと思います。花嫁修業だって始めていないんですからね。
しとりにはまだ早いです。*1
「しとりはずっと父ちゃんと母ちゃんと一緒に居ような?剣心とこの坊主や陸奥のオッサンところの坊主にはしとりは絶対に渡さないからなあ」
なんだか剣路君と天兵君の将来は大変ですね。
「そういえば不破さんなんですけど」
「オッサンがどうかしたのか?」
しとりを胡座を掻く足の間に座らせて、私の事を見つめる左之助さんに言葉を続けるように「あの人って女傑族に勝って、そのまま日本に返ってきたみたいなんです」と伝えると左之助さんは困惑したように首を傾けてしまった。
「自分を倒した相手を婿にする一族です」
「ああ、あそこか。不破のヤツもこれから大変だな。オレは景と夫婦だったから許されたが、アイツらの執念と執着は物凄かったな」
「……しとり、しらない……」
「フフ、しとりはまだ赤ちゃんだったから当然ですよ。でもしとりはコロンちゃんには懐いていましたから、いつか会いに生きましょうね?」
「ん!」
「あのちっこいのか。元気だと良いな」
左之助さんも思い出したのか。すごく楽しそうに笑いながら、しとりに清国で出会った虎の話や様々な動物の話をしてあげている。
いつか会えると良いですね。