「悪いな、相楽。家族水入らずを邪魔してよ」
「いや、オレもアンタとは戦ってみたかったんだ」
そう言ってお互いにストレッチを行う左之助さんと不破信二の事を私は椅子に腰掛けて眺める。しとりも専用の椅子をドクトル・バタフライに作って貰ってご満悦の表情を浮かべています。
私の施した相楽左之助改造計画の成果はもう磐石です。なんなら大成していますし、この『統一された世界』が「修羅の刻」や「らんま1/2」と繋がっていると知ったときから、ずっと左之助さんが内功と外功を無意識に行えるようにマッサージを行ってきました。
ほぼ実質的にA級達人には到達しています。
「景、行ってくる」
「はい、お気を付けて」
「ん!がんばれ!」
私はしとりと一緒に左之助さんの事を応援し、グッと握り拳を突き上げて応えてくれた彼の優しさを嬉しく思いつつ、やはり不安を募らせる。
相手は、あの不破圓明流です。
無手のまま神を越える事を目指す不敗の一族。その中でもおそらく四百年間に産まれた不破の誰よりも強く迅く硬い現時点の最高品質の存在と言える。
「不破圓明流当主、不破信二。いざ参る!」
「喧嘩屋の相楽左之助。掛かってきな!」
そう言って静かにお互いに名乗りを上げた瞬間、最初に動いたのは、やはり不破信二だった。
一足飛びで左之助さんの間合いに飛び込み、左足を前にした大股のスタンスで左鉤突きを振るい、頭を僅かに後ろに退いて、妖怪の身体を砕く強烈無比の拳打を躱す左之助さんの鼻先を───不破信二の左肘が掠める。
「……チッ。鉤突きと肘打ちの二段技か」
「間合いと距離を縮めりゃ誰だって出来るさ。次はアンタの番だぜ、相楽左之助!二重の極みでもご自慢の石頭でも好きなだけ使えよ!」
「なら見せてやるよ、コイツが破壊の極意だ!」
右拳の形状を熊手に構えた左之助さんの一撃を受け、不破信二の身体は大きくのけ反った瞬間、二度目の衝撃を受けて更に深く後ろに頭を落とし、不自然なブリッジの体勢のまま身体を留めている。
緩やかに上半身を起こした彼の目は妖しい光を纏い、ニタァ……と恐ろしい笑みを浮かべながら防御を捨てたように両手を、だらりとぶら下げ始める。
「良いぜ、以蔵の背筋を凍らす殺気も牛山の投げもキツかったがお前は別格だ。お前なら、俺の
「ついでに敗北も刻んでやらァ」
「ソイツは楽しみだ!」
また一足飛びで間合いに飛び込んだ不破信二に合わせて、振りかぶった左拳を振るうも左之助さんが打ち終わるよりも先に飛び退き、身体の伸びた左之助さんの横面に不破信二の右回し蹴りがめり込んだ。