某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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父親探し、再開 序

「景さん、良かった!」

 

「わ、わあ、薫さん!」

 

パタパタと駆け寄ってきた薫さんは飛び付くように私を抱き締めてくれ、そのまま病室のベッドに倒れ込んだ瞬間、徐に左之助さんが薫さんを持ち上げ、ずいっと緋村剣心に差し出した。

 

「まだ病み上がりなんだ。気を付けてくれ」

 

「うっ。そ、そうよね、ごめん」

 

「おろぉ…失念していたでござる。申し訳ない」

 

「い、いえ、大丈夫です!」

 

左之助さんに厚手の羽織を着せて貰い、ベッドに腰掛けたまま久し振りに会えたお友達に嬉しさを感じる。あとは薫さんのお父さんを見つけることが出来れば「北海道編」は正式に完結と言えますね。

 

「よっ。元気そうだな、糸色姉ちゃん」

 

「……あわ明神君!また大きくなりましたねえ」

 

木刀を背負い、腰に刀を佩いた好青年、ほんの一瞬だけ誰なのかが分からないほどに逞しく成長した明神弥彦に驚きつつ、彼の事を足先から頭まで見上げてしまう。

 

左之助さんより背は低いですが、緋村剣心よりも背丈はまた伸びていて、173cmかもう少し上でしょうか?左之助さんも出会ったときから数センチほど伸びて182cmと更に大きくなりましたけど。

 

やはり男の人は直ぐに大きくなります。

 

「糸色姉ちゃんはちっちゃいままだな」

 

「おう。人の女房を貶してんのか?」

 

「左之助も二、三ヶ月見てねえ間に糸色姉ちゃんに張り付いている頻度が増えてるな。薫が言ってた通りだ、あんまり無茶させるなよ?」

 

お、大人な態度ですね。

 

「うむ、実に良い台詞だ。明神弥彦君、君の事も糸色君に良く聴いているよ、努力家で一生懸命な男の子とね。左之助君も見習いたまえよ」

 

「こんなに好きなのに、まだ足りねえのか」

 

ウ~ンと腕を組んで悩み始める左之助さんに笑うドクトル・バタフライに警戒する明神君。そんな彼にドクトル・バタフライは「あの時の孤島で一度会っているよ、君とは本当に五年ぶりになるね」と笑った。

 

「……あの時の髭のオッサンか!?」

 

「HAHAHA!!!そうとも私が髭のオッサンだ。いやはや子供の成長というものは早くて敵わないね、いつか息子も私を追い抜いてしまうのか」

 

「糸色殿、何はともあれ。ご快復誠に喜ばしいことでござる。沖田殿の様に……いや、これは祝いの席には不適切な言葉でござるな」

 

そう言ってお見舞い品を渡してくれる緋村剣心にお礼を言いつつ、ふと彼の腰に差してあった逆刃刀が無くなり、木刀も持っていない事に首を傾げてしまう。

 

「緋村さん、逆刃刀は?」

 

「弥彦に返したでござるよ。剣客兵器の瓦解した今、もう逆刃刀を振るうのはお仕舞い。これからは立派な主夫として生きていくでござる」

 

「えと、つまり働きたくないでござる?」

 

「「「「「………………」」」」」

 

私の呟きに、シーンと病室の空気が凍った。

 

あっ、またうっかりで喋った気がします。

 

 

 

 

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