刀鍛冶の情報を手に入れたという明神君に、みんなで称賛の拍手を送りながら、どこにいるのかを聞けば「それは知らねえよ」と言葉が帰ってきました。
そう簡単に見つかるとは思っていなかったけど。
北海道にいるという事実が分かれば安心ですね。あとは、じっくりと捜索範囲を縮めるように進んでいけば、自ずと薫さんのお父様には出会えるはずです。
しかし、神谷越路郎は何故刀鍛冶と居るのでしょうね。何かしら理由があって、薫さんの待つ東京へ帰らなかったとはいえ腑に落ちない点がある。
「糸色姉ちゃん、なんか分かるか」
「いえ、私は探偵ではないので少ない証拠を頼りに真実に辿り着ける自信はありませんよ。明神君も何か気になるものはありましたか?」
「いや、オレもねえな。薫の親父の事だからバカみたいに騒いでると思ったんだが、どうにも何かを隠しているみたいに北海道を転々としてやがる」
「ちょっと、お父さんは悪者じゃないわよ」
「まあまあ、弥彦も悪気があるわけではないし」
「いや、十分悪口だったぞ?」
五年前の時のように騒がしく楽しそうに語らうみんなを眺めつつ、小さな口を開けるしとりに金平糖を差し出している剣路君に視線を移す。
お母さん、しとりが魔性の娘になりそうで、ちょっとだけ不安になります。まあ、剣路君も頬を赤らめているのに、しとりは金平糖に夢中ですけど。
左之助さんに似たのかしら?
「しかし、糸色殿も分からないのか」
「緋村さんって、本当に私の事怪しみますよね」
「そんなつもりはないでござるよ?確かに五年前は怪しい動きは多いと思っていたでござるが、よくよく思い返してみると怯えていただけでござった」
そう言って笑う緋村剣心。
じゃあ、私の貴方に感じていた不安はただの勘違いで怪しまれていただけということになるんですが?自分の奥さんの親友によく言えましたね。
やはり人斬り抜刀斎の通り名のように、私の貧弱すぎるメンタルも斬ったわけですね。……いえ、ネガティブな事は考えないようにしましょう。
「なあ、この際だから聞くけどよ。剣心は景の何処が怪しいと思ったんだ?」
「左之助さん?」
「おろ。少々難しいでござるが、はじめて会ったときに拙者を見て怯えていた事でござろうか?あの後、薫殿に歳を聞いて怪しさを深めた訳だが」
「そっか。あの時の景さんは十五歳だったもんね、幕末の緋村抜刀斎を知っているのは確かにおかしい。……あれ?じゃあ、なんで景さんは東京にきたばかりも剣心が人斬り抜刀斎だったことを知っていたの?」
あ、これ不味い状況ですね。