私の病室に必ず一人は残るようにしているのでしょうか?と思いつつ、ドクトル・バタフライの作ってくれたハーブティーを少しずつ飲み、逆刃刀も木刀も持っていない緋村剣心に視線を向ける。
こうして緋村剣心と二人だけになるのは初めてですね。いつもは左之助さんか薫さんが一緒にいて、二人だけになるということはありませんでしたから。
それに、おそらく今回の残った理由も前回誤魔化していた私が緋村抜刀斎の頃の彼を知っていた理由を問い質すためでしょう。
「糸色殿、そう怖がる必要はないでござるよ」
「は、はい!」
「拙者も無理に詮索するつもりはない。が、もしや拙者は幕末の折、糸色殿と姿殿の親類を殺めてしまい、その事で嫌われているのでござるなら申し訳なかった」
「そ、そういう訳ではないです。ただ、私は人の事を深く視ることが出来るだけで……突拍子も何も無い言葉を選ぶなら神通力を使えます」
そう言って緋村剣心を見据えると「本当に突拍子もないでござるな。でも、それならば何となく分かる。初めて出会ったとき、糸色殿は拙者達の事を俯瞰的に見つめる様な視線を向けていた」と言い、緋村剣心は笑った。
ほとんど出任せのような言葉なのに信じてくれる辺り、やはり緋村剣心も左之助さんのように優しい人なんでしょうけど。目付きがまだ怪しんでいますよ。
まあ、仕方ないことですけど。
「しかし、しとり殿にもその神通力というのは宿っているのでござるか?」
「権能の種類にも依りますが、宿っていると思いますよ。糸色家は巫覡の真似事を行う家系でもありますし、必然的に幽霊や妖怪に関わることになりますから」
「そうでござるか。なら、神谷越路郎殿もまた糸色家に纏わる何かに巻き込まれている可能性もあるということでござるな?」
「……その場合は姿お兄様でしょうね」
私と緋村剣心は他愛の無い会話を続けていると窓の外に視線を感じて、そちらを向けば左之助さんが鋭い眼光を私に向け、徐に彼の手が私の顔に触れ、緩やかに口付けをしてきました。
一体、なにがしたいんでしょうか。
「剣心、人の女房に近すぎるぜ」
「拙者としては自分の妻に首輪をつけて、こうも束縛しているほうがダメだと思うのでござるが。左之と糸色殿がそれで満足しているのなら何も言わぬよ」
左之助さんと緋村剣心は仲良しですね。
私はいきなり接吻してきた左之助さんに、どうしてこんなことをするのかわ問い詰めないといけません。お父様の捜索はどうしたんですか、全く。