みんなの「また、お前が関わっているのか」という視線に物申したい。「月華の剣士」に関わっているのはススハムと鷲塚慶一郎です。
私は関わっていません。もしも関わっているとすれば斎藤一か永倉新八か緋村剣心の三人で、地獄門の事だって他人に喋った記憶もありません。
言い掛かりです、騙されています。
「嬢ちゃんのオヤジには悪いが景に妖怪を祓う力は無いぜ。見ろ、こんなに細い腕だぞ、刀なんて振ったらポッキリ折れるかもしれねえだろ」
「い、言いすぎなのでは?」
「いや、左之助が正しいわね。お父さん、景さんに妖怪を祓う力は本当に無いわ、例えあったとしても景さんは絶対に使いこなせない」
「ああ、糸色姉ちゃんには絶対に無理だな」
「おろぉ、拙者は頑張れば……否、難しいでござるな」
みんなの私に対する「か弱い生き物」という視線は合ってはいますけど。なんだか、とても悲しい気持ちになります。一応、病気も完治しているんですよ?
「そうか。───ところでウチの娘の旦那は何処にいるんだ?父親として挨拶をしておきたいんだが、それらしいヤツには一度もすれ違わなかったぞ」
「……お父さん、ずっと隣に座ってるわよ」
「?子供しかおらんぞ」
「だ、だから、その人が、剣心が私の夫よ!」
わあ、大胆な宣言です。
薫さんの言葉に照れたように笑う緋村剣心に視線を向け、薫さんと交互に見比べて、自分の膝の上に座っている剣路君を見て、ようやく理解したらしい。
まあ、まあ、分かります。緋村剣心、私や薫さんが化粧水や保湿液を使っているのに、まったく肌艶は衰えないし、何故か若返っている気もする。
やはり若作りの秘薬があるのかしら?
「歳上と言っていなかったか?」
「拙者、こう見えても三十は越えているでござるよ」
「三十の男が十と七つの娘に手を?」
ゆらりと立ち上がった神谷越路郎の異様な気配を感じ取ったのか。左之助さんは私としとりを抱き上げると病室の外に飛び出し、その後に続くように明神君や剣路君を抱えた薫さんも飛び出てくる。
「薫、何とかしろよ!」
「無理よ!お父さん、怒ってたから!」
確かに神谷越路郎の戸惑いと怒り様には驚きましたけど。現代を生きていた私にとって、十歳差という年の差はすごい事だと分かります。
「左之助さんと私は四つ差ですね」
「景と夫婦になったときは十と九つだったな」
「ん!しとりみっつ!」
「フフ、しとりも三歳ですねえ」
そう三人で楽しく話していたとき、壁を突き破って怒った神谷越路郎に追い回されている緋村剣心が私達の真横を通り抜けていく。
やはり、祝言に出席したかったんですよね。