ようやく緋村剣心と神谷越路郎の義理の親子の喧嘩は終わりを迎えたものの。ドクトル・バタフライ不在の間に起こってしまった、この敷地内の惨状はどうやって説明しても怒られるわね。
凹凸の激しい広場の地面。
本当に、ここは剣客浪漫の世界なのかと疑いたくなるほど地面はひび割れ、飛天御剣流「土龍閃」で舞い上がった石礫は木々をへし折り、煉瓦造りの塀を粉々に穴を穿つほどに打ち崩している。
「左之助さん、お願い出来ますか?」
「別に構わないが何するんだ?」
「薫さんを手伝って上げて欲しいんです」
「弥彦、手伝いに行くぞ」
「オレもかよ!オッサン達の自業自得の面倒臭い親子喧嘩に巻き込まれた挙げ句、オレの木刀はボロボロになっちまってんのによぉ……」
あとで代わりの木刀を用意します。
しかし、だ。左之助さんと明神君、薫さんの三人が近付いているのに緋村剣心と神谷越路郎はお互いを警戒し合い、静かに呼吸を整えていた。
ゆっくりと二人は木刀を握る力を緩め、緋村剣心は明神君にボロボロになった木刀を返して、ものすごく怒られながら神谷越路郎は薫さんに怒られています。
二人の喧嘩のせいなのでお説教は甘んじて受け入れ。今後は喧嘩せずに仲良く義父として接してあげるほうが今後は楽しそうですよ。
「景、ちょっと来てくれ」
「どうかしましたか?」
左之助さんに呼ばれて、考え事を中断する。しとりと剣路君と一緒に左之助さん達に近付くと神谷越路郎の顔が半分くらい刹那になっていた。
最初は四半くらいだったのに、もうこんなに大きく膨らんでいるのかと驚きながらも神谷越路郎の顔に触れ、ジッと彼の顔を見つめる。目立った外傷は少ないけど、隣の緋村剣心に受けた傷の多さに目を見開く。
「……緋村さん、やりすぎです」
「強すぎて加減は無理でござるよ。薫殿のお父上はやはり薫殿が言った通り強かった」
「薫が気に入るわけだ。良い剣士だ」
「なんかオレも喧嘩したくなってきたな」
「左之助、仮にも社長なんだから喧嘩はやめとけ」
そう言って楽しそうに話し始める男の人達に呆れ、私は薫さんと一緒に救急箱を取りに研究所へと戻る。薫さんも「男の人って何で喧嘩していたのに、すぐ仲良くなれるのかしら?」と呟いている。
未来のヤンキー漫画でもよくある展開ですが、現実で見るとやはり困惑しますよね。まあ、でも仲良くなれるなら私は白面の者ともフェイスレスとも仲良くしてみたいですけれど。
今の奈落はイヤですね。
だって、横恋慕して乗り換えているんですよ?