二人の手当てを終えた緋村剣心達は各々帰路につき、私はしとりと左之助さんと一緒にドクトル・バタフライの研究所で彼の帰宅を待っています。
野暮用とは言っていましたけど。
やはり神谷越路郎に関する事なのでしょうか?と考えつつ、しとりと左之助さんに食事を作り、病室に運ぼうとした瞬間、ガクンと一瞬で全身の力が吸い取られたように私は地面に倒れた。
なんとかお腹は守ったものの、身体に急激な負荷を感じ、這いずるようにしながら台所を抜けるとしとりを抱き上げた左之助さんが私を担ぎ、彼は私達を研究所の外へと運び出してくれた。
「景、しとりと一緒に此処から離れてくれ」
「左之助さんも一緒にいて下さいっ」
「いや、オレはやり残しがある」
ぐったりとしているしとりを抱っこして北海道の我が家に向かってふらつきながら、左之助さんに言われた通りにドクトル・バタフライの研究所から離れていたとき、私の目の前に黄金の蝶が舞う。
「一体、これは何事だね」
「ど、ドクトル…!さっきいきなりエネルギードレインを受けて、今左之助さんが一人で研究所に残っているんですっ。左之助さんを助けて下さい!」
「…くっ、もうそれを迎える時期か!糸色君は家に帰っていたまえ!左之助君は私が引き摺ってでも届けに来る、絶対に戻るんじゃない!」
そう言うとドクトル・バタフライは金色の羽を揺らし、研究所の方へと向かってしまい、彼を追いかけようと振り返り掛けた瞬間、着いてこないように言われた事を思い出して、しとりを抱っこしながら私は歩く。
大丈夫。ドクトル・バタフライが左之助さんを助けに行ってくれたんです、絶対に左之助さんは無事に帰ってくるはずです。
ゆっくりと鍵の掛かっていない家の扉を開け、私はしとりを抱っこしたまま居間に座り込み、静かに左之助さんが無事に帰ってきてくれる事を願う。
「母者、ありゃエネルギードレインじゃなかった」
「え?ど、どういうことですか!?」
「落ち着いて。嬢ちゃんが起きる、おそらく神谷越路郎に引っ付いている化物を追っている奴らの仕業だ。エネルギードレインにしたらタイミングが良すぎる」
そう話す個魔の方の言葉にエネルギードレインのタイミングの良さに頷く。確かに、ヴィクター・パワードならまだ抑え込めるはずです。
じゃあ、だれか何のために?
それは神谷越路郎に取り憑く刹那を狙っている。ドクトル・バタフライの研究所で事を起こした理由は、ドクトル・バタフライと左之助さんをその場所に留めるため、そこから導き出される答えは一つだけ。
「個魔の方、お願いします!!」
私の言葉に黒衣を翻してドーム状の空間を作ってくれた彼女に感謝の言葉を言いながら金属のぶつかる音が黒衣の向こう側で聞こえる。
やはり、狙いは私でしたか。