物語の辻褄合わせ 序
刀々斎様に戴いた懐剣を眠っているしとりに握るように持たせ、ゆっくりと姿勢を正して、正座し、黒衣の向こう側に立つ襲撃者に向かって私は問い掛ける。
「あなたの身柄や所属等は絶対に問いません。只一つだけ私を狙った理由をお聴き致します。私の大切なお友達を利用し、あまつさえ子供も巻き込んだ理由をお聴き致します」
黒衣に僅かな隙間を作って襲撃者を見据える。
古典的な紺色や茶色い忍び装束を身に纏った襲撃者は性格に小太刀を振り抜き、喉を突き刺そうとしていますが、彼、あるいは彼女の切っ先は結界によって私に届くことなく、個魔の方に頼み、黒衣の隙間を絞めて動きを封じ込めて貰う。
「再三になりますが、理由をお聴き致します」
「…………巫女の予言に貴様が出てきた。異なる歴史を紡ぎ、縫い留める『糸』を持つ女だとな……」
巫女。
抑圧・強制を受けている「前世の記憶の保持」を使うために少しだけ目を瞑って意識を集中し、明治時代を題材として巫女を取り扱っている物を脳内にリストアップし、彼の行動と今現在の進行している状況を組み合わせていく。
「貴方の話をお聞きします。斬鉄さん」
「ッ、未来視の神通力とは真だったか」
そう言って「月華の剣士」たる斬鉄に微笑む。
小太刀を握る手を緩めた彼は静かに頭巾を外し、ゆっくりと両膝を揃えるように正座し、真剣な眼差しを私に向けると今も尚、日本の各地で起こっている怪奇現象について教えてくれた。
地獄門の封印は不完全。
───いえ、成功しているけど、向こう側に流れた人間が常世の者を相手に戦争を仕掛けているということは分かりましたけど。
「(それはもう只の志々雄真実なのでは?)」
思わず、大きな声で聞いてしまいそうになった自分を律して斬鉄さんの言葉と襲撃してきた理由は分かりました。しかし、あのエネルギードレインに似た技を使った理由は何も分かっていません。
彼の最後は二人の側近を連れて地獄の閻魔様を相手に国盗りをやろうとしていたけど。まさか実際に地獄に流れて国盗りを始めるなんて予想外すぎる。
「御母堂、どうか平にお頼み申す」
「……分かりました。私も何とか策を論じます」
私の言葉を聞いた彼は影に紛れて見えなくなり、私はゆっくりと吐息を吐いて畳に向かって身体を倒し、緊張の糸が切れてガタガタとあまりの恐怖に震える身体を抱き締めながら、七年か八年振りにやった糸色家での立ち振舞いの堅苦しさに疲れてしまう。
「こんなところ、左之助さんには見せられません」
「見てたぞ?」
「へ?」
「剣心の言ってた黒幕まんまだったぜ」
それは、褒め言葉じゃありませんよね!?