ドクトル・バタフライの研究所は度重なる攻撃と騒動によって破損し、現在は錬金術関連の知人を集めて改装中のため、私達は鷲塚慶一郎とススハムを我が家に招き、昨晩の出来事を話しておいた。
「成る程、そりゃあアタシを呼ぶわけだわ。相楽カッケマッも本当に面倒臭い事件に巻き込まれて、もう、さっさと旭川のお寺にお参りとお祓いでも行ってきたら良いんじゃないの?」
「旭川のお寺、聖地巡礼を」
「しかし、相楽殿は楓殿に会う必要があると…」
鷲塚慶一郎の発した「楓」という人名は「月華の剣士」に登場する主人公であり、地獄の門の封印を管理する四神「青龍」を受け継ぐ青年です。
別作品の主人公の面影を感じることはありますが、ドクトル・バタフライの『統一された世界』と繋がるには三つほどパターンがある。
一つは「私の持つ『物語』を繋げる能力」を使い、意図的に「物語」を繋げること。その事実を知らなかったため、私は「うしおととら」「からくりサーカス」「からくりの君」など描いてしまっています。
二つは「ドクトルの『統一された世界』に最初から組み込まれていた」という場合です。こちらはドクトル・バタフライによって「るろうに剣心」「武装錬金」「エンバーミング」などですね。
そして、三つは「この世界の現在や過去、未来に転生者が居た」という場合になります。「修羅の刻」「戦国の三日月」「犬夜叉」です。そちらは拡散的に拡がる世界を『統一された世界』に巻き込み、連なり混ざって世界を一つの世界線に纏めることになるわけです。
「景、また考え事か?」
「左之助さん、とても大変な事になりそうです」
「いつものことだ。それに今回はお前を狙うヤツは拐ったりするヤツは居ないんだろ?」
「……多分、いないと思います」
「慶一郎、貴方の方でも当たってくれる?アタシもコタンを巡って巫女の情報を集めてきたいし、ひょっとしたらサムスピが関わるかも知れないから」
「さむすぴが何かは知らないが承知した。左之助殿、我々も独自に動き始める。斎藤と永倉には宜しく伝えておいてくれ」
地獄の門の向こう側に居るのは、おそらく志々雄真実でしょうけど。今回は私ではなく長谷川君を狙っていると想定して動くべきですね。
志々雄真実は常世の者、こちらに戻るには現世の身体を必要とし、選ぶなら若くて強さもある、なにより無限刃を持っている長谷川君以外に存在しない。
「一先ずアイツらに任せるが、景は身重なんだ。あんまり無理せずに安静にしててくれよ。それにあの力を抜き取る技を使ったヤツも見つかってねえ」
「えぇ、そうですね。パワードさんは違いましたから別人が似た技を使ったと考えるのが妥当です。でも、左之助さんもあまり無理しないで下さい」
私はそう言って左之助さんの頭を抱き締める。
地獄の門が開くということは冥界に繋がるということ。この世界には冥界や地獄に堕ちて尚も這い上がろうとする妖怪も悪人も多いですからね。