「…………」
「…………」
「(何故、しとりと楓君は見つめ合っているのでしょうか。やはり霊媒能力を受け継いでいる影響で、楓君の背後に何か見えているのかしら?)」
「しとり、母ちゃんのところに行ってな」
「ん!」
お膝の上に乗せていたドンと親分を抱き上げ、此方にやって来たしとりは私の膝の上に頭を乗せるように寝転び、両脇にドンと親分を添えています。
二匹とも私やしとりに体重を掛けないようにしてくれて、とても助かっているんですが、ススハムの「クズリを従えるって何したのよ」という呟きに、私はどう答えるべきなのかを悩む。
素直にしとりに懐いているだけですと伝えてもクズリの特性を知っているススハムは警戒する気がしますね。アイヌだけに限らず野生のクズリは危険ですから、我が家のドンは賢くて可愛いけど。
「しとりはお眠さんですか?」
「ん!まだねない!」
そう言って笑顔を向けてくれるしとりの頭を優しく撫でていると楓君の視線を感じ、そちらに顔を向けるとこめかみに青筋を立てた左之助さんに顔をアイアンクローのごとく掴まれた彼が宙吊りになっていました。
「景、ちょっと外で話してくる」
「えっ。はい、お願いします」
「オラ、行くぞ横恋慕のクソガキ」
「これは純あいだだだだだだっ!?違います!これは変身した時の僕の言葉で、今のは本心ですけど、本心じゃないんだよおぉお!!!」
覚醒状態の楓君は確かに少しだけワイルドかも知れませんが、一番カッコいいのは左之助さんです。次点で姿お兄様とお父様ですね。
「ススハムさん、もしもの話なんですけど」
「なに?また面倒臭い事に巻き込まれたの?」
「いえ、進行形で巻き込まれてはいますけど。少しだけ気になったことが……」
「アタシに言えるなら言っときなさい」
「……沖田総司が女だった場合」
「OK。理解したわ……相楽カッケマッの言いたいことは分かるし。警察署で会った岡田以蔵の喋り方のせいでそう思えるのよね。分かる、すごく分かるけど。今はソレ関連は止めておきなさい」
型月関連の作品を描いて広めることはしていないものの。やはり他の転生者の生まれ変わった「物語」の一つになる可能性は捨てきれない。
うつらうつらと睡魔に誘われ始めるしとりの身体に羽織っていた半纏を掛けて上げると、ドンと親分も起こさないように両脇から抜け出し、しとりの近くに寝床を近付け、眠りについてしまう。
「流石に神様も合体させないわよ、たぶん」
「なるとしても未来で、ですね」
「それならアタシはアーチャーかもね。キャスターになってたら相楽カッケマッに召喚されてあげるわよ、数少ない友達だからね」
「ススハムさん…!」
お友達、素敵な響きです!
「でも私に宿った力を考えるに、この世界とは違う場所にいる他の転生者も類似する力を授かっていると考えるべきですよね」
「えぇ、そうね。アタシとしてはか弱いアンタに能力を押し付けた理由は、相楽カッケマッが何事にも悪用しないからだと思ってるけど」
悪用。
そんなこと考えたこともありませんでしたね。