某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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正義とは何ぞ 破

悠久山和尚と服部武雄の手を借りて登山を始めるしとりを眺めつつ、私は恵さんや薫さんの裏切りに悲しくなります。お友達だと思っていたのに酷いです。

 

こんなにあっさりと私を怖い人達の中に追いやるなんて酷いです。左之助さんもしとりもいますから怖くても我慢できますが、みんな背丈が大きいから怖い。

 

「ん!とうちゃく!」

 

「うむ、よくぞ登りきった」

 

しとりは褒められて嬉しそうに笑っているけど。その下にいる阿部十郎はピキピキとこめかみに青筋を立てて、羨ましそうにしとりを見つめている。

 

あの人って、あんな感じだったかなあ…。

 

そう思いながら左之助さんに身体を預けるようにもたれ掛かる。少しだけ疲れて、なんだかとても眠気のようなものを感じてしまう。

 

「景、辛いなら横になるか?」

 

「……い、いえ、大丈夫、ですよ…」

 

やはり重苦しい眠気を感じ……。

 

「相楽、寝室に運んでやれ」

 

「おう」

 

ゆっくりと私を抱き上げてくれた左之助さんに申し訳ない気持ちになりながらも布団を敷いてくれる彼の背中を眺めていたとき、ふと身体の奥で何かが膨れ上がる感覚に身体が跳ねた。

 

───けれど、すぐに違和感は収まった。

 

「(妖怪?いえ、幽霊?)」

 

「景、運ぶぞ」

 

「ありがとうごさいます」

 

私の着物を締める帯を緩めて布団の中に入れてくれた左之助さんにお礼を伝えつつ、ジーーーッと私を見つめる彼の眼差しが恥ずかしくて掛け布団を顔の近くまで被りながら「あまり見ないで下さい」とお願いする。

 

しかし、左之助さんは私のお願いを聞いてくれず、手慣れた動きで眼鏡を外し、優しく接吻をしてくれた。病気を治してから以前よりも接吻してくれる回数が増えて、私は嬉しいですけど。

 

やはり恥ずかしいです。

 

「んむっ…んッ!…」

 

ねっとりと舌を絡ませてきた左之助さんに驚き、彼の胸や肩を身体を押し退けようとする手を掴まれ、襖を隔てた向こう側にみんながいるのに、こんなことをされてしまう不安に身体が震えてしまう。

 

「……いじわるっ…」

 

「男ってのは好きなヤツには意地悪なんだよ」

 

左之助さんはそう言うと頭を優しく撫でて、部屋を出ていってしまった。名残惜しさはありますけど、接吻のおかげで寂しくはないです。

 

これなら安心して眠ることが出来そうです。

 

「(起きたらまた左之助さんに地獄の門の事を聞かないといせませんね。しとりも私が眠っていても大丈夫でしょうか……)」

 

眠る筈なのに色々と考えてしまう意識も薄れて意識が深く深く沈んでいく感覚に飲まれる。

 

 

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