うっすらと目を開けて、身体を起こすと私の布団の中にしとりが潜り込んでいて、スヤスヤと穏やかな寝息を立てて静かに眠っている。
お水でも飲もうと襖を開け、廊下を歩いていると居間の方はまだ明るく左之助さんはまだ起きているのかな?と思いながら、近づいたとき、私は後悔してしまった。
「斎藤君、こうして再会したのも何かの縁。あの時、私の問うた言葉の答えを教えてくれますか?」
「御陵衛士は悪か否かだったか……少なくともお前達の生き方は悪ではなかっただろう。その意志は阿部が俺達に示していた」
なんで、まだ家にいるんですか。
そういうカッコいい話は警察署や月の見える綺麗な場所で行えば良いじゃないですか。おかしい。この人達はやっぱり私達の家を溜まり場にしています。
左之助さんのお友達だから良いんですけど。
肝心の左之助さんはどこに?と居間の前を通りすぎ、台所に向かうと緋村剣心と左之助さんが一緒にお酒を飲み交わしているところに出会してしまった。
いえ、家にいるのだから当たり前ですね。
「あ、それドンのごはんですよ、緋村さん」
「ぶふぉっ!?」
私の指摘に煮干しを食べていた緋村剣心が物凄い勢いで吹き出して、左之助さんは咳き込む彼を見ながらケラケラと笑っているものの、貴方の噛んでいる薫製肉は親分のオヤツですね。
「……何か作りましょうか?」
「なら、卵焼きが良いなあ……景の卵焼き」
「私の
割烹着に着替えて癖毛を一房に束ね、ドクトル・バタフライにプレゼントしてもらった卵焼き器をコンロで熱しながら少量の油を敷き、均一に油を広げつつ、ボウルに卵を割って入れ、冷蔵庫の鰹出汁を少し混ぜ、カラカラと菜箸を使って卵をかき混ぜる。
熱した卵焼き器に少量の溶き卵を落とし、均一に広げて手前側から巻いていき、また溶き卵を落として同じことを繰り返す。
まな板に出来上がった卵焼きを取り出し、正確に同じ幅と太さに切り分ける。こういうときに「料理のスキル」はとても役立ちます。
私の目には食材の情報や状態など鮮度に至るまでグラム単位で把握することができ、しとりと左之助さんの食育にそれはもう成果が出ています。
「お待たせし……増えてる」
いつの間にか増えていた斎藤一と服部武雄の二人に驚きつつ、また新しく卵焼きを作りますか?と聞けば四人とも頷いていた。
みんな、卵焼き好きなのね。
「ホウ。これは中々…」
「美味いだろう!オレの景は本当に何を作っても美味いからな!」
我が事のように自慢してくれる左之助さんの言葉を嬉しく思いながら、卵焼きを食べて身体の薄れ始める服部武雄に私だけは気付いていた。
彼の未練は斎藤一の行く末だったのでしょう。
どこまでも信念を貫く彼の生き方は辛く危険な事ばかりで、やはり元新撰組として大切な仲間の事を案じて黄泉還ってきたんですね。