「オッサン、コイツら誰だ?」
「歴代の陸奥と不破だそうだよ。全く死んでも戦いたいなんてどちらも面倒臭い一族だ。左之助君には悪いが監視を宜しく頼むよ、糸色君は診察を済ませよう」
「は?おい!」
私の背中に手を添えて明らかに臨戦態勢の整った修羅の中に左之助さんを放り込んだまま病室に向かうドクトル・バタフライの事を見上げる。
「もう診察は終わった筈ですよね?」
「定期検診は必要不可欠だよ。君は無自覚に無茶をするからね、少しずつ体調も回復しているとはいえ余り派手に動いたりするのはやめたまえよ」
「しとりとお散歩はしています。走れるようにはなるのは、まだまだ先になりそうですけど。いつかしとりと追いかけっこをしたいです!」
私が今よりも大きくなったしとりと一緒に走れる可能性を伝えると「それは良い夢だね。しとり君もきっと喜ぶだろう」と言ってくれた。
しかし、ドクトル・バタフライはどうやって陸奥と不破の二家を同時に集めることに成功したんでしょうか?やはり、そういう死者を探すドラゴンレーダー的なアイテムを作っていたりするのかな。
「糸色君、考え事をするときはポーカーフェイスを心掛けることをオススメするよ。君はどうにも表情に出やすい性格のようだ」
「……斎藤さんや左之助さんにも言われました。でも、私は無表情のつもりなんですよ?」
そう言ってみるものの私の言葉には信頼性は無く、人を騙すことも下手で、ウソを吐くことも、隠し事をすることも下手なんです。
一応、頑張っているんですけど。
どうしたら良いんでしょうか。
「血液検査もしておこうか」
「えっ、いや、それは…!」
「何、君の痛覚は切っているよ」
「いつの間に!?」
私の右腕に注射器を添えたドクトル・バタフライは少し血を採血し、更に改良を加えたであろうお医者さんカバンに血の詰まった試験管を差し込む。
直ぐに結果を記したカルテが飛び出す。
ここだけファンタジー的なSFですよね。
「ふむ、血液や内臓に病気や疾患は見当たらない。が、寝不足と栄養不足だね。ほら、口を開けたまえ」
「……あ、あーっ」
おずおずと恥ずかしさを堪えながら口を開けるとリンゴ味のお薬を口の中に出して貰い、ゆっくりと肘関節の内側の注射の痕も消して貰う。
注射は怖いから苦手です。
これが平気な人はすごいと思いますし、しとりの予防接種には注射も使っていますけど。あの子は泣かずに我慢して、とても偉いです。
流石は私と左之助さんの娘です。