某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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修羅場 急

ズラリと並んだ陸奥と不破のお歴々に頭を悩ませ、どうやって死闘を止めるように伝えようかと思う反面、不破虎彦と陸奥狛彦の二人は仲良くしている。

 

まあ、双子というのもありますけど。お互いの人生を支えてくれた最愛の妻を語り合っている分、他の不破や陸奥よりまともではありますね。

 

「糸色君、全員分のリストを作ってくれないか。流石にこれだけ多いと私も捌ききれる自信はないし、なにより信二君は岡田以蔵と何処かに行っている」

 

「そういうと思って陸奥のリストは作りました。不破は不破さんに聴きながら作りたかったんですが、事情もありますから」

 

ドクトル・バタフライに紙束を差し出すと彼は眉間を押さえながら溜め息を吐いた。そうなるのも分かります、平安時代より遥か昔から存在していますからね。

 

「母ちゃん、母ちゃん!」

 

「フフ、どうしたの?」

 

「だれがいっちゃんつよいの!」

 

「え゛ッ」

 

しとりの素朴で純粋すぎる質問にピクリと全員の肩や眉が動き、お互いの事を睨み付け、ジリジリと間合いを測り始める。しとりの質問は左之助さんと不破信二の戦いを見ていたからなのでしょうけれど。

 

まさか、こんなタイミングで言うとは予想外です。

 

「糸色君、しとり君、離れていよう」

 

「は、はい」

 

「ん!ドンとおやぶんもおいで!」

 

カーペットと火鉢の前を陣取っていたドンと親分はしとりの呼び掛けに応えて、トタトタと素早く私達の後を追い、扉の枠越しに私とドクトル・バタフライは修羅達の行動を監視していた、そのときだった。

 

陸奥達と不破達は窓を突き破って外に飛び出していき、蹴り合い、殴り合い、防ぎ、攻め、絡み、交わし、往なし、弾き、あらゆる行動が刹那の瞬間に始まり、雑技団の演目に見えるほど軽やかに跳ね、天を翔けるように舞い、人間の動きとは到底思えない戦いに目が痛くなる。

 

「(人間ってあんなに跳ぶんだぁ……)」

 

「人間だというのに練り上げた強さはホムンクルス以上とは、やはり不破も陸奥も人間の枠組みを越えた修羅であることは事実のようだね」

 

「ん!ん!しとりもやる!!」

 

「し、しとり!?」

 

ピョンピョンと跳ねるしとりの言葉に驚きつつ、砂塵を巻き上げて見えなくなってきた戦いに私は頭を抱える以外に出来ることはなかった。

 

どちらも当主だった人ばかり。

 

つまるところ歴代の負けず嫌いばかりなんです。力で競り負けたら更なる強さを、速さで競り負けたら更なる迅さを以て相手を圧倒する。

 

どちらも負けたくない気持ちばかりで、とんでもないことになってしまいました。

 

 

 

 

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