誰も倒れず、誰も死なず、もはや永遠に終わらないかも知れない戦いに私は不安を抱きながらもドクトル・バタフライに後の事を任せて、夕食を作るために我が家へと裏口を使って研究所を出てきました。
「まだみたかったー!」
「もうダメですよ?お父さんをお出迎えしてあげなくちゃ泣いちゃうかもしれませんから、ね?」
「……むう、わかった」
「フフ、しとりは良い子です。ありがとう」
ヨシヨシと彼女の頭を撫でていたとき、藪を突き抜けて血みどろの顔を晒しながら現れた人影に私もしとりもビクリと身体を震わせる。
しかし、その人影は岡田以蔵だった。
「わ、わしの事もいっぱいヨシヨシしとーせ。お願いや!その程好く大けな尻もついでに揉まして貰えると嬉しいがや!」
「ひっ。へ、変態…!」
ささっと私は自分のお尻を隠すように手を後ろに回しながら、人の気にしているところを平然と言ってきた岡田以蔵の事を避けるように歩き出す。
「ん!母ちゃんおっきい!」
「しとり、そんなこと言っちゃダメですよ?」
ペチペチと私のお尻を叩くしとりに目線を合わせるためにしゃがみ、そう教えると「しとりもおっきくなる!」とフンスと胸を張って言ってしまった。
その言葉を聞いていた影の中の個魔の方の吹き出す声に恥ずかしくなり、しとりの頬っぺたをムニムニとお餅のように撫でてお仕置きをします。
「んにっ、んむぅ…めっ!」
「しとりは可愛いですねえ、モチモチです♪︎」
可愛い愛娘の頬っぺたを触っていると血塗れの岡田以蔵が這いずるように迫る光景が見えて、驚きの余り尻餅をつきそうになった瞬間、個魔の方に助けて貰い、岡田以蔵は藪の中に蹴り飛ばされた。
「母者、身重なんだから気を付けなさい。全く嬢ちゃんもフィーリングで語ろうとするのはやめるように言っただろう?母者も何でもかんでも許して甘やかすのは悪いんだからさ。ほら、ちゃんと謝りな」
「うっ。やはり、そうでしょうか?」
「……ん。母ちゃん、ごめんね」
「フフ、許します。謝れて偉いねえ。個魔の方も叱ってくれてありがとう、私はどうにも怒るのが苦手みたいなので一緒にこれからも手伝って貰えますか?」
「妖逆門が終わっても憑いていくよ。相棒♪︎」
「ん!こまちゃん、あいぼー!」
そう言ってハイタッチをするしとりと個魔の方にクスリと笑みを浮かべ、それなら妖逆門に参加するときはお弁当を作ってあげないといけないですね。
いっぱい食べて、いっぱい遊んで、いっぱい笑って、沢山の出来事を積み重ねて大きく優しい女の子になってくれならお母さんは幸せです。