某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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地獄の淵 急

ドクトル・バタフライの用意してくれた脱出装置を身体に取りつけ、左之助さん達から少しだけ離れて、長谷川君の持っている無限刃を借り受ける。

 

ゆっくりと何も存在しない目の前の虚空に無限刃を差し出した次の瞬間、凄まじい業火を纏った人の形が出現し、私の差し出す無限刃を掴んだ。

 

「俺の場所が分かっていたのか?」

 

「……いいえ、鵜堂刃衛の言葉を思い返してみただけです。既に黄泉還っているというのに攻めてこない、様子見や傍観しているとも考えましたけど。左之助さん達に聞いていた話を合わせるなら、志々雄真実は近くで見ている可能性を考えたんです」

 

「ハッ。上出来だな」

 

「ありがとうございます。では、失礼します」

 

その言葉を合図に私の身体と無限刃を持つ志々雄真実の右手を包み込み、大量の金色の蝶は舞い上がり、ドクトル・バタフライの待つ空に私は浮かび上がる。

 

「ふむ、手を斬っても離さないか」

 

「え?きゃあッ?!」

 

慌ててドクトル・バタフライに無限刃を投げ渡すも「危ないじゃないか。全く、君はいつまで経ってもお転婆なお嬢さんのままだね」

 

「ま、まるで私が悪い子みたいな……」

 

「全く以てその通りだろう。ヤンチャなお嬢さん?」

 

「うぅっ」

 

私の身体を横抱きにお姫様抱っこで抱えるドクトル・バタフライに注意したいけれど。このまま落とされたら怖いので仕方なく我慢しつつ、左之助さんのところまで運んでもらう。

 

「長谷川君、お返ししますね」

 

「シャチョー夫人なのに危なっかしいな」

 

「まあ、そこが可愛いんだがなあ」

 

私の頭をポンポンと叩く左之助さんに不満をぶつけるように彼の背中をペチペチと叩きつつ、右手を失っている志々雄真実を見つめる。

 

一応、利き手を奪う作戦は成功したけど。

 

修羅達のように手足を瞬時に回復すると想定し、攻撃は遠距離に固定するべきなのでしょうが、不死身の肉体を得てしまった志々雄真実の戦闘力は、少なくとも「るろうに剣心」に於ける最強の比古清十郎(物理的最高戦略)級であることは確定済み────。

 

より効率化と広範囲火力の攻撃を行うために準備はドクトル・バタフライに一任していましたし。こうなると後は予測を上回った場合の分割予測を行えば良いです。

 

「ハッハッハッハッ!俺を虚仮にするために呼んだってわけか?随分と嘗めた真似をするじゃねえかよ、そんなに俺を怒らせたいのか。糸色景?」

 

「ひっ」

 

「おい。オレの景を虐めるんじゃねえよ、コイツは怖い奴が大嫌いなんだ。さっさとテメェは地獄に還りやがれ、志々雄真実!」

 

 

 

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