右腕を失った志々雄真実と対峙する緋村剣心の顔付きは五年前に何度か見せていた人斬り抜刀斎の雰囲気と酷似し、薫さんも心配そうに見つめている。
「老いたな。抜刀斎」
「そういうお前は死んでも変わらずに国盗りを企み続けているのか?それとも地獄の業火に耐えきれず、この世に戻ってきたか?」
「ハッ。あんな楽しい場所を捨てる訳ねえだろ?死なず、化け物みてえに強い奴らがごまんと溢れ返った場所だ。況してや、妖怪、外道衆、アヤカシ、何でもござれな最高の怪物まみれだ!」
き、聞きたくない言葉を聞いてしまった。おそらく過去か未来で「スーパー戦隊」の世界に転生し、偶然にもこの世界に統合されたんでしょうけど。
まさか特撮まで関わって来るのは予想外です。
「おっと忘れるところだった。糸色景、閻魔からテメェに預かり物だ。後生大事にソイツを祀っとけなんざ言ってやがったぜ」
「え?あっ、わ、わと?!」
「気を付けろよ。危ないだろ」
いきなり投げ渡されたものを受け取り損ね、左之助さんに身体を支えて貰いながら閻魔大王様の預かり物という言葉に、みんなの視線は集まるものの、これってどこかの鍵でしょうか?
「さてと殺るか、抜刀斎ッ!」
「ぐっ?!」
私の手元に意識を集中させての不意討ちを仕掛けてきた志々雄真実にブーイングを飛ばす薫さんや明神君、しかし、左之助さんや斎藤一は「気を緩めたアイツの落ち度だ」と割り切っています。
───ですが、やはり不意討ちはズルいです。
しかし、あの刀は一体?
無限刃ではないのに炎を纏い、逆刃刀と互角に渡り合える刀なんて沢下条さんの持つ刀以外にあり得ないと思うんですが、いえ、まさかあり得るのでしょうか?
「シャアァッ!!」
「緋村さん、その刀は新井赤空の物です!」
「なッ、ぐあっ?!」
私の叫び声に気を逸らしてしまった緋村剣心の顔に拳が叩き込まれ、私達の近くに緋村剣心が吹き飛んできたところを左之助さんが彼を受け止める。
「い、糸色殿、先程の言葉は…」
「…アレは間違いなく新井赤空の刀です。あの志々雄真実が急拵えの刀を使うわけがない。況してや愛刀の無限刃は此方に在る以上、考えられるのは地獄に彼もいるということです」
そして、この事が事実なら新井赤空は地獄の鉱石を刀に鍛え上げたということ。ジエメイとギリョウのように何かしら妖怪に関わった可能性もあります。
「やはり目利きの良さは方治と同等か。面も良い、益々欲しくなる逸材だな」
「ご、ご遠慮します」
「なら、力付くで地獄に引きずり込んでやる!」
そう言うと私に向かって駆け出してきた志々雄真実に身体がガタガタと震えて竦み、捕まると思ったその時だった。私の近くにいたしとりが志々雄真実に向かって何かを放り投げ、彼が何かを切り裂いた瞬間───。
「カカカッ、捕まえたぜェ!!」
それは、現れた。
沸き上がるように伸びた二つの
「ハッハッハッ!!テメェだな、テメェだよなぁ!!このオレを斬ろうとしたのはよぉ!殺るか!殺るんだな!殺ろう!!オレも四百年振りに強い奴と遊べるなら最高の目覚ましだ!!」
四百年振りに目覚めた戦国最強の人間、人妖問わず強いなら殺すために襲う兇鬼。人間でありながら人間ではなく、妖怪さえも恐れる「戦」の名を持つ化け物が、この時代に復活を果たしてしまった。