「左之、あの男は誰でござるか」
「ちょっと前に戦国時代に飛ばされたときに会ったヤツだ。妖怪は今より強いし、化け物まみれの世界で人間のまま強さを求める狂った怪物だ」
そう言って戦骨の事を語る左之助さんですが、ドクトル・バタフライとススハムを除いた全員は「戦国時代に飛ばされたとき」という瞬間に宇宙を背負った。
私もいきなり言われたら戸惑いますけど。戦骨の事は理外の兇気を纏った人間のなれの果て、あるいは人間の到達してはいけない場所にいる人間です。
「いい加減にしやがれ、この野郎ッ!」
「ハハハハッ!!これこそ血沸き、肉躍る闘争だ!死なぬ敵なら加減は不要、骨肉を割いて殺す!」
圧倒的な暴力に対して、暴力で抗う志々雄真実の動きがだんだんと変化し、身体を覆う包帯が燃え始める。活動限界?いえ、それは死者の彼には存在しない筈ですが、まさか何か身体の中に飼っている?
「シャアッ!!」
「熱う゛ッ?!」
炎の色が橙色から青に変わった。
「抜刀斎のために用意したとっておきをテメェに使うなんざ腹立たしくて仕方ねえが、俺を好き勝手に殴りやがったんだ。焼き斬ってやるよ」
青い炎を纏った志々雄真実に猛禽類のような笑みを浮かべた戦骨が右手を此方に向けたそのとき、私達の足元に転がっていた千年パズルの残骸から、巨大な薙刀が飛び出してきた。
「あれは、含牙戴角…!」
何故、牙鬼幻月の薙刀が千年パズルから?!
そう考えるも直ぐにハッとして私を見つめる視線に気づき、左之助さんの後ろに隠れても「またお前が関わっているのか」と斎藤一に言われる。
「左之助さんは信じてくれますよね?」
「お前の事はずっと信じているが、腹の子が生まれたら洗いざらい吐かせるからな?」
そ、そういうのはお年的に辛いです。
「剣心、どうする。志々雄があのままやられると地獄の門の話も聞けなくなるし、あの馬鹿みたいに殺し合いが大好きな戦骨の相手をすることになるぜ?」
「おろぉ…困ったでござるな。弥彦」
「死ねってか?オレは祝言前だぞ」
三人が言い争っている間にも含牙戴角を手にした戦骨を相手に、志々雄真実は互角以上に戦っている。やはり、あの炎は何かしらの恩恵の一種なのだろう。
しかし、地獄に存在する青い炎────。
候補は幾つか思い浮かびますけど。その場合、この世界は異界に通じるということになりますし、恐ろしいサイレンの音なんて聞きたくもないです。
「(異界ジェノサイダー左之助……フフ、ないですね)」
もしも、そうなったら本気で世界な滅びそうです。