止める。
そう話し合っていたとき、狂喜の笑みを浮かべた陸奥の一人が駆け出したことを皮切りに不破も陸奥も一斉に二人に向かって飛び掛かる。
やはり修羅に常識は通用しない。
しとりも行こうとするのを止めながら「これは遊びじゃないから危ないです」と伝える。しとりは良い子ですから分かってくれますけど。
あの修羅を止めるのは無理ですね。
チラリと私と背丈の近い女性、おそらく歴代の比較的に温厚な修羅の陸奥葉月に話しかける。
「葉月さんは行かないんですか?」
「無茶を言うな。私は此方に引っ張り出されたばかりで息子の息子の子らを一人ずつ見るのが精一杯だ。全く、閻魔大王の考えは分からんな」
「そうですね。私も子供の子供に会えたら、きっとそちらを優先してしまいます」
「分かるか?アヤツらは可愛いのだ」
「分かるわ、子供って可愛いもんね」
現実逃避するように彼女と話していると薫さんも混ざり、井戸端会議のように話し合っていると私の真横に戦骨が吹っ飛ばされてきた。
「よう。少し通るぜ。嗚呼、それとお前らも全員纏めて相手してやるから来いよ。まあ、お前らみたいな爺さん達には無理かもだけどな」
そう言い残して、戦骨はまた駆け出した。
「……阿呆が。壬生狼を嘗めたな」
「おじさん、怒っちゃったよ」
「薫殿、少し行ってくる」
「うふふ、不敗を閉ざしてやろう」
「うひひひひっ♪︎」
「ススハム、俺も行ってくる」
年下にも見える戦骨の挑発じみた言葉に三十代を越えた幕末の剣士は煽り負けして修羅の戦いに向かっていく。あの人達って、たまに馬鹿になるわよね。
「弥彦と左之助はいかないの?」
「馬鹿言うな。オレらが行ったら誰が守るんだよ」
確かに、ふたりまで行ってしまったら戦えるのは葉月さんとススハムと薫さんだけですね。私や恵さん、子供達は戦闘力皆無ですし。
「ありがとうございます、左之助さん」
「おう。それにオレは四人に負けているし、あれ以上の喧嘩相手を作ったらオレまでアイツらのいた地獄に引きずり込まれそうだからな」
それは、そうですね。
緋村剣心、斎藤一、不破信二、四乃森蒼紫の四人にまだリベンジを行えていない左之助さんは勝つために色々と準備しています。
次に勝つのは左之助さんです。アメリカでは雷君に負けていましたけど、あれは模擬戦みたいなものですからお互いに楽しんでいました。
バンズ君達も元気でしょうか。
いつか、またお腹の子が生まれたら会いに行きましょう。そう思っていると青い炎を纏った志々雄真実と緋村剣心の必殺技が衝突し、凄まじい火焔の暴風を巻き起こす。
「おー!とんだ!」
「父ちゃんに掴まっとけ」
「ん!」
天翔龍閃と火産霊神の衝突は凄まじく、小柄なしとりの身体が浮き上がる。やはり緋村剣心達も修羅や戦骨に感化されて人間の臨界点を越えましたね。
みんな、修羅の領域に踏み込んでしまった。