戦いはが終わる気配がなかったのでドクトル・バタフライに頼み、全員の身体をチャフで縛り上げて貰った。不服そうな修羅達と疲労困憊の緋村剣心達、そして血塗れでチャフを引きちぎって嗤う戦骨。
一応、この三つ巴は一先ず終わりを迎えた。
「志々雄真実さん、貴方の本当の望みや未練を教えて貰えますか?ずっと考えていても貴方の未練が私には全く分かりません」
「ハッ。誰が教えるかよ」
「どうせ抜刀斎との決着だろう」
「コイツの性格ならあり得るか」
雁字搦めの志々雄真実にそう言う斎藤一と左之助さんの言葉にも一理ありますけど。やはり、志々雄真実ほど我欲に溢れた人が戻ってくるには決め手に欠ける。
「糸色姉ちゃんに会いたかったとか?」
「弥彦、それはねえだろ」
「でもよ。十本刀に迎え入れるとか何とか言ってたヤツがいた気がするんだ」
「(そういえば居ましたね。鎌足お義姉様を此処に呼ぶことは出来ませんし、沢下条さんは地獄の門の捜索に動いているわけですし)」
「……志々雄、もう正直に話すでござる」
緋村剣心の言葉に不満そうに舌打ちをする志々雄真実は「俺の死んでいる内に出ていた『うしおととら』を読み切るためだ」と素直に答えてくれた。
予想外の答えに私は言葉を失い、斎藤一の「やはり、またお前が原因か」という言葉を必死に否定するものの。左之助さんですら「まあ、四乃森に自慢していたからな」と納得している。
うぅ、このままだと私のせいになる。
「……そうでした。この鍵は一体?」
「地獄の鍵だ。閻魔の野郎に人の繋がりが一番強い奴に渡してくれって頼まれてな。まあ、俺の刀もアイツの牙から作り出した妖刀だ」
しれっと凄いことを言いましたね。
閻魔大王様の牙を刀にしたって、新井赤空の作品なのは分かっていましたけど。まさか、素材が一番すごい神様だなんて知りたくなかったです。
「お前、地獄でどういう立場なんだよ」
「灼熱地獄の統括だ。閻魔には敗れたが常世も現世も纏めて俺の手中に収めてやる、テメェ等も死んだら俺の配下だ!!」
「……えと、とりあえず原稿になりますけど。うしおととらを読みますか?」
「読ませろ」
高笑いしていたのに喰い気味に応える志々雄真実にビクリと身体を震わせつつ、私は「地獄の鍵」という明らかに繋がった新しい「物語」に溜め息をこぼす。
彼が活動を始めるのは昭和前後。
明治時代の私には無関係ではありますが、武藤君や津村さんに迷惑を掛けてしまうかも知れない事実に少しだけ憂鬱になってしまいます。