某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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泣いて還った悪鬼 急

私よりも高く積もった雪に突撃し、そのまま潜り進んでいくしとりの胆力とスタミナ、パワーに驚きながらドンと親分に彼女の事をお願いする。

 

私は雪の中には着いていけませんからね。しかし、どうして雪がこんなに降ってきたのかも謎がある。比較的に気温は安定していて、いつもの会議も普通に出来ていたのに不思議です。

 

やはり何かしら原因はあるのか。

 

「景、風邪引くから家ん中で待ってろ」

 

「でも、しとりが外に出ていますし」

 

「病気が治っても風邪引いたら意味ねえだろう」

 

「……はい、すみません」

 

左之助さんの言葉は尤もなので頷き、半纏と樏を履いて出ていく彼の事を見送り、温かいものを作っておこうかな?と台所に歩いていく途中、居間に視線を向けると何故か手帳が置かれていた。

 

斎藤一の私物でしょうか?

 

「(……いえ、あり得ませんね。斎藤さんは真面目ですし、自分の私物を忘れて返るような事はせず、自分にも規律にも厳しい人です)」

 

その様な人が置いていくわけがない。

 

つまり、あれは誰かが私を誘き出して誘拐するために用意した罠と考えるべきです。そして、相手は妖怪の類い、もしくはホムンクルスでしょうね。

 

神隠しなど古今東西あらゆる場所で人を拐う妖怪や神仏は多く、気に入った相手を自分の領域に取り込んでしまうことの方が多い。

 

ドクトル・バタフライがいるとはいえ日本に隠れ住むホムンクルスの全てを統括し、統率し、統一することは難しい。人間の枠組みを越えた力を持てば自然と自尊心は増長し、全能感に脳は支配されてしまう。

 

そういう部類と遭遇するのはイヤです。

 

「(なので見て見ぬふりです)」

 

私は自分自身に言い聞かせて、フンスと胸を張りながら居間の前を通りすぎようとした瞬間、カタリとひとりでに手帳が動いた。

 

動いた。

 

動いて、私を追える。

 

私は懐剣と核鉄を握り締めるように胸に手を当て、ゆっくりと浮かび上がった手帳を見据える。やはり、あれは斎藤一のものではないですね。

 

「き、来たら弾く、来たら弾く」

 

テニスやバトミントンのように弾く動きをイメージしていると手帳は思ったよりも素早く飛来し、懐剣を握り締めて結界を張って貰えるように願った瞬間、手帳は私の真横を素通りして、どこかに行ってしまった。

 

「景、なんか黒いのが飛んでいって」

 

「……えと、さあ?」

 

あれはなんだったのでしょうか。

 

地獄の門に関わるものだったら、止めるべきなんですけど。あまり人様の持ち物を勝手に見たりするのは悪いことなので出来ません。

 

 

 

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