志々雄一派の最高戦力の一人である本条鎌足と出会い、更には海賊「海龍」の襲撃を受け、私の周りは本当に騒々しく騒動や事件の中心部にいることが多い。
海龍の指示で一塊に集まった乗客に私達も加わり、自然と本条鎌足も私の隣を陣取り、彼女はいつでも御庭番衆と戦える間合いに立っている。
「ねえ、さっき私を見て驚いてたけど。本当に私の事を知っているのかしら?」
「い、いいえ、知りません」
「……貴女、ちょっと嘘下手すぎじゃない?」
スンと真顔になる本条鎌足の言葉に頷く神谷さんと明神君にショックを受ける。けど、そもそも嘘を吐いているつもりじゃなくて、誤魔化そうとしてるだけだから、別に悪いことはしていないはずだ
チラリと銛や斧を構えた海賊達の人数が一人ずつ減っていることに気付き、まさかと思って後ろに振り返るとひょっとこを残して、他の御庭番衆は一人残らず、忽然と姿を消していた。
お、隠密なのは知っていたけど。
まさか白昼の真っ只中で不意打ちをやるとは。
その度胸と裏打ちされた実力に驚嘆していると。みんなを守るために竹刀を握っていた明神君が冷や汗を流しながら「あの時よりまだ強くなるのかよ」と呟いた。
「ううん、流石に人数が多すぎて多対一になるわね。まあ、別に勝てない訳じゃないけど。ちょっと手こずりそうかもね、糸色ちゃん」
「ひえっ!?」
ものすごく綺麗な顔が迫ってきたことに驚き、慌てて神谷さんに助けを求めるより素早く、ひょっとこの大きな手が私と本条鎌足の間に割り込み、意外にも簡単に彼女の視線と身体を遮る。
「おい。ソイツは旦那がいるぞ」
「あら?そうなの」
「何を喋っている!!」
一番最初に乗り込んできた海賊「海龍」のおそらくリーダーと思わしき男の怒鳴り声に本条鎌足は舌打ちをして、袖の中から鎖と繋がった分銅を振り抜き、たった一撃で相手の意識を刈り取った。
大鎌を使う人なのに、そんなことも出来るのか。
「相手は子供でしょうが、静かにしなさいよ。さっ、ちゃっちゃと志々雄様のところに行きましょうか、糸色ちゃん」
「糸色は左之助の女房だ!テメェんところの大将に持ってかれるわけにはいかねえ!」
「良く言ったわね、弥彦。貴女も下手に騒がず、此処は退いてくれない?ここだと鎖分銅なんて振りを利用する得物は十分に使えないわ」
ゆっくりと倒れ伏す海賊に二度目の鎖分銅を叩きつけ、今度こそ確実に海賊の意識を絶った本条鎌足の言葉に明神君が噛みつき、神谷さんも明神君の言葉を後押しするように喋り、竹刀袋を開き、木刀の柄に手を添えている。
「まあ、私も派手に動いて面倒事を引き起こすのは御免蒙るわ。それに、その子を連れていくのは何時でも出来そうだからね」
そう言って本条鎌足は人混みの奥に紛れていく。大阪につくまで、日にちはある。その間だけ私も捕まらないように警戒しなくちゃいけない。