殿様はシンケンマルの鍔を変換して、身の丈を越える大刀「烈火大斬刀」を振り抜き、地獄の門を出ようとする亡者を斬り倒していく。
流石です、殿様!と心の中で声援を送りながら彼に負けじと各々の武器を振るって亡者を追い返していく彼らを私は後方で結界に守られたまま見つめる。
不義理、不誠実と言える行為です。
「熱風!!」
空気を焼き焦がす蛮竜の一撃が地獄の先まで斬り伏せ、亡者の数は両手で数えることが出来る量まで減ったものの、我武者羅に向かってきていた亡者とは違う。
あれは紛れもなく外道だ。
「テメェが志々雄や刃衛と同じで肉体のまま地獄から出てきたヤツの一人か」
「腑破十臟、泡沫の夢だが楽しませて貰うぞ」
そう名乗りを上げた腑破十臟は刀袋の紐を解くと同時に白い柄を握り締め、嫌な悲鳴じみた鳴動を起こす長刀を鞘から引き抜いた。
裏正。
シンケンレッドと幾度も死闘を繰り返したはぐれ外道たる腑破十臟の振るう峰側の赤い鋸刃こそ真の太刀筋という異質な妖刀────。
雪代縁の持つ裏正とは似て非なる
「ぐうっ!?」
「左之助さんっ!!」
「左之ッ!」
「貴様、不破の癖に刀を使うのか!」
「……誰と勘違いしている。俺は剣客だ!」
腑破十臟に腕を斬られ、蹴り飛ばされた左之助さんに私と緋村剣心が駆け寄る最中、彼の背後から迫り来る斎藤一の牙突を容易く刀の刃筋で往なし、すれ違いざまに肩を切り裂いた。
強い、まだ人間の姿なのにこの人は強すぎる。
「やれやれ。無粋な男だ、君はお呼びではない!」
「
左之助さんを狙ってきた腑破十臟を金色の蝶が攻撃し、無理やり吹き飛ばす。が、鉄片の嵐を切り裂いて赤く染まった髑髏の異形が其処に佇んでいた。
やはり、はぐれ外道・腑破十臟だ。
「楓君、君の覚醒する時間は稼ごう」
「助かる!」
「諸君、こんなこともあろうかと退却のために用意していた気球がもうすぐ到着する!もう暫しの辛抱だ、明日郎君も手加減せず最大火力で往きたまえ!」
「殺ってやるよ、クソ蝶々がぁッ!!!」
無限刃と鞘を叩き合わせて炎を巻き起こす長谷川君はドクトル・バタフライに文句を叫びながら荒々しく亡者を斬り、蹴り、頭突きを叩き込んでいる。
「いってぇ…クソ、景は怪我はねえな?」
「は、はい、でも…」
「心配すんな。アレは追求するのは後だ」
つ、追求しないでもらえたりは出来ませんよね。
分かりきっていた事だけど。やはりみんなにまた「黒幕はお前だ」とか「やっぱり黒幕なのか」なんて言われたりするんでしょうね。