某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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閉じて、おしまい 急

「はあっ!」

 

「うおらあっ!!」

 

逆刃に返した裏正と蛮竜が衝突する衝撃の余波に巻き込まれ、吹き飛ばれそうになる私の身体をドクトル・バタフライの蝶が包み込み、薄くも何重にも編み込んだ鉄糸の堅牢な守りを与えてくれる。

 

大鉾と長刀では間合いの有効性は違い、鉾の方が不利だというのに左之助さんは石突きの月牙で裏正の左切り上げを受け止め、赤い狒々の髑髏に頭突きを叩き込み、ぐらつき、のけ反って鑪を踏む腑破十臟の胸部に二重の極みを正確に撃ち込んだ。

 

「惚れ惚れする戦い方だね、糸色君」

 

「はい…!」

 

私の大好きな人は凄いんです!

 

そう私はフンスと胸を張って自慢するとドクトル・バタフライは「やれやれ、君も存外図太い性格をしている。こんな戦闘真っ只中に惚気るなんてね」と言い、呆れと笑いの息をこぼす。

 

既に腑破十臟を除けば殆んどの亡者は斬り倒され、地獄の門の向こう側で戦う志々雄真実と今回の死者黄泉還り事件の元凶───嘉神慎之介の死闘は続いている。

 

志々雄真実と嘉神慎之介の二人とも黒く妖しい炎を操り、燃え盛る剣戟は時代劇の殺陣の如く鮮やかで恐ろしくも美しい姿だった。

 

「相楽、手こずるなら代わってやろうか?」

 

「誰が手こずるかよッ!!」

 

「……焦らずとも全員相手をしてやる」

 

「吠えたな。髑髏が」

 

こめかみに青筋を立てて竜王を引き、右手を切っ先に添えるように構える斎藤一。牙突。彼の代名詞とも言える技が、無防備に左之助さんと鍔迫り合いをしていた腑破十臟を狙った瞬間、腑破十臟が後ろに飛び退く。

 

刹那、蛮竜と竜王が衝突し、お互いを弾き飛ばした。

 

「相楽、どういうつもりだッ」

 

「此方の台詞だ、斎藤ッ!テメェの牙突がオレの蛮竜を弾き飛ばしやがったんだろうが!!」

 

「ふ、二人とも来てます!」

 

私の言葉に腑破十臟の切り落としよりも動いた左之助さんのしなる左足が彼の右腕を蹴りを喰らわせ、太刀筋の軌道が逸れた瞬間、斎藤一が裏正の柄を握り、腑破十臟の身体を捻り倒して刀を奪い取った。

 

「グッ…」

 

「雪代の刀と似ているが、コイツは違うな」

 

「硬すぎだろ、鉄かテメェ…!」

 

血を吹き出す左之助さんの左足に慌てて駆け寄ろうとするもドクトル・バタフライと長谷川君に制止され、私は戸惑うけれど。

 

しかし、その判断は正しく、ゆらりと立ち上がった腑破十臟は恐ろしい殺気を放ち、あまりの恐ろしさに腰が抜け、へたり込んでしまった。

 

「俺の裏正を返せ…!」

 

「還るのはテメェだッ!!」

 

裏正を取り返すために向かってきた腑破十臟の顔に左之助さんの右拳がめり込み、二重の極みの決まる音と共に彼は地獄の門の向こう側に退き、斎藤一に投げ込まれた裏正を受け止める。

 

静かに裏正の鳴動を聞き、鞘に納めた彼は地獄の中に戻っていくと同時に門が閉じ始める。何もしていないのにと驚きつつ、門の向こう側を見ると志々雄真実が親指を逆さまに向けていた。

 

……結局、この地獄の鍵は何のために?

 

そう思いながらも完全に閉じて消えていく地獄の門を見送る最中、私は左足を怪我した左之助さんに寄り添い、膝枕をしてあげる。

 

「左之、大丈夫でござるか?」

 

「オレは木刀で此処に来たお前が心配だよ」

 

「いやあ、うっかり忘れてしまって」

 

タハハと申し訳なさそうに笑う緋村剣心の言葉にみんなが溜め息を吐いた。まあ、そうなりますよね。しかも最後は地獄の向こう側に立っていた志々雄真実に頼ってしまったようなものですし。

 

「さて、お前には聞きたいことが増えた」

 

「ひっ」

 

「今回は絶対に逃がさんぞ。洗いざらい吐け!」

 

恐ろしい表情で叫ぶ斎藤一の余りの怖さに半泣きになりながら、左之助さんにしがみつくも「今回はオレも聞きてえ事が山程ある。あの殿様ってだれだ?」とほの暗い瞳が私を見つめてきた。

 

ひぃんっ、みんなこわいよぉ……!

 

 

 

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