某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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拳で語る 破

岩息舞治と壮絶な拳闘を制した左之助さんはドクトル・バタフライの集めている核鉄の中に入り、ほぼ一晩の内に完全回復したものの、不破信二と戦った時と同様にかなり消耗している様子です。

 

家に帰ってきてからも辛そうです。

 

「左之助さん、大丈夫ですか?」

 

「ああ、大丈夫ではあるが」

 

寝室に籠って膝枕をしながら左之助さんと話していると彼の視線は窓に向かい、私も釣られて窓の方を見ると元通りのダメージを負う前の岩息舞治がベッタリと寝室の窓ガラスに張り付き、鼻息を荒くして左之助さんの事を見つめていました。

 

そうっと左之助さんを隠すように身体を屈め、私の胸の中に左之助さんを隠してみる。ですが、あまり劇的な効果は望めず、岩息舞治は窓の施錠を外すように必死に鍵を指差している。

 

イヤです、今は夫婦の時間です。

 

「……景は甘くて良い匂いがするな」

 

「んッ、擽ったいです」

 

「まだ、いるか?」

 

「居ます。『開けて下さい。相楽さん、あの素晴らしい瞬間をもう一度だけ。貴方が忘れられない、熱い夜を過ごしましょう』……そう言っていますね」

 

「オレに衆道の趣味はねえ…!」

 

身体をよじってうつ伏せになった左之助さんは私の腰に抱きついて、お腹の子の音を聴こうと静かに耳を澄ませています。

 

───尚、岩息舞治はまだ窓の外に居ます。

 

よしよしと左之助さんの後頭部を優しく撫でていると襖を開けて、しとりがいつものように入って来るなり、うつ伏せの左之助さんの背中に乗り、私の膝の上に二人して寝転んでくる。

 

可愛いですけど、重たい。

 

「ん!しとりもなでて!」

 

「フフ、良いですよぉ」

 

しとりの頭を優しく撫でてあげると嬉しそうに目を細め、笑顔を見せてくれる。やはり、しとりは世界で一番可愛いですね。

 

そう思っているといつの間にか岩息舞治は居なくなっていて、もう怖がる心配はないと安堵していた次の瞬間、ゴンゴンと玄関のドアノッカーを鳴らす音が聴こえ、ビクリと私の肩が跳ね上がる、

 

ものすごい執着ですね。

 

左之助さんのパンチはそんなに凄いのかな?と思いながら、ゴツゴツとした大きくて分厚く硬い彼の手を触っているとまたドアノッカーを打つ音が聴こえる。

 

「ん!しとりがでる!」

 

「そ、それは出ちゃダメな人です!」

 

そう言って手を伸ばすと個魔の方がギリギリでしとりを抱き上げ、止めたくれたおかげで我が家に変態さんが入ってくることはありませんでした。

 

今日は諦めてほしいです。

 

私の切実な願いは聞き入れられず、ドアノッカーの音はお昼まで続きました。

 

 

 

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