パピヨンと賛さんの二人に少しだけ驚いたものの、左之助さんは直ぐに受け入れてくれました。まあ、私と賛さんがそっくりだったから「景が変態といる」なんて仰天していましたけど。
私も左之助さんがパピヨンと一緒にいたら同じように驚愕するでしょうが、ドクトル・バタフライはパピヨンに出会えて感涙の涙を流し、なぜか私に物凄く嬉しそうにお礼を言ってくる。
パピヨンは貴方の子孫ですよ?
「ん!母ちゃん、みて!」
「はい?あらぁ……」
パタパタと真っ黒な蝶々の羽を生やして空を飛ぶしとりを見上げ、思わず気の抜けた声を出してしまう。パピヨンは手を動かして、しとりを可愛らしく本物の蝶々みたいに空で舞うように動かしている。
とても素敵な姿です。
「ほら、受けとれ」
「わっ、とと…」
「母ちゃん、あったかい!」
「フフ、しとりも暖かいですよぉ……パピヨン君もしとりと遊んでくれて、ありがとう」
「ムッ。気にするな」
ふいっと顔を逸らす彼にクスリと笑い、左之助さんと背丈の変わらないパピヨンの頭を背伸びしながら優しく撫でてあげる。
「良い子良い子です」
「高祖母様、玄孫の恋人に色目を使うのはお止め下さい。攻爵さんは私の大切な人です」
パピヨンの袖を摘み、恥ずかしそうにそう言ってきた賛さんの可愛さにヨシヨシと彼女の頭も撫でてあげる。フフ、そういう邪な気持ちは一切ありませんよ。
私が愛しているのは左之助さんです。
「ふう、今日も良い汗を掻きました」
「此方はテメェのせいで疲れてるけどな」
「相楽さん、貴方も好きじゃないですか」
「誤解と語弊を招く言い方をするんじゃねえ!?」
そして、何故かごく当たり前のように我が家に入り浸っている岩息舞治に賛さんはビクリと身体を震わせ、警戒心を剥き出しにしながらパピヨンの後ろに隠れ、彼の事を睨み付けています。
もっとも出会い頭に喧嘩を仕掛け、半裸のまま押し倒して迫ればそうなるのは必然であり、私やススハムを含めて岩息舞治に対する女性陣の信頼は最低値です。
長谷川君達は今日も買い食いか函館を満喫しているようです。やはり年明けしてから山菜や野菜も増えましたからお料理の種類も増えてきましたからね。
「ん!しとりもあそぶ!」
「ハハハ、ダメだぞぉ?」
トタトタと駆け寄るしとりを優しく抱き上げた左之助さんは彼女に喧嘩するのは止めるように話すものの、それを話しているのが日本最強の喧嘩屋という矛盾を起こしていることに彼は気付いていない。
「しとりさん、喧嘩は大人になってからですよ!」
「ん!わかったよ、がんちゃん!」
「余計な事を教えるな、阿呆が」
ベシンと左之助さんが岩息舞治の頭を叩いて叱るとにこやかに彼は笑い、ラリアットのごときパンチを繰り出そうとしたものの、室内であることを思い出し、渋々と攻撃する手を止めてくれました。