私のお腹に耳を当てている賛さんは穏やかに胎動を聴いている。しとりも左之助さんも同じことをしますけど、私は二度目の体験です。
しとりのときもそうですが、つわりと嘔吐を繰り返して食べ物も擂り卸した果実類や柑橘類を頑張って食べて、少しでも栄養を補充するために、ドクトル・バタフライにヨーグルトを作って貰う等、本当に色々とした。
あの頃は肉体的に負担も大きく、左之助さんにも重く辛い不安を抱かせていたかも知れません。ただ、過保護も行き過ぎると恐ろしくあります。
「高祖母様、また蹴りました」
「フフ、そうですねぇ」
少し興奮気味に私に報告する賛さんに、ぷくーっと頬っぺたを可愛らしく膨らませているしとりを手招きして、嬉しそうに笑顔で私のところまで駆け寄ってきた彼女を優しく抱き締めてあげる。
「ん!母ちゃんとっちゃだめ!」
「しとりお婆様、大丈夫でございます。私は高祖母様を尊敬していますが、私が愛しているのはお坊っちゃまだけです」
「あい?」
「好き、大好き、そういうことです」
「ん!!しとりも母ちゃんあいしてる!」
「ありがとう、しとり。お母さんもしとりの事を愛していますよ、私の愛しい愛しいやや子ですもの。どうか末永く清らかに生きて下さいね」
そう言って私はしとりの頭を優しく撫でてあげ、カチューシャを着けている賛さんの頭も同じように優しく撫でてあげると驚きながらも嬉しそうに目を細め、賛さんは私の手を受け入れてくれた。
「オレも混ざって良いのか?」
「左之助さんはお父さんなので後です」
「しとり、父ちゃんと代わってくれ」
「やっ!父ちゃんあっち!」
「ムッ。俺が触れる男は武藤だけなんだが…」
なんだかトキメキを感じる雰囲気を感じますね。
しかし、それをドクトル・バタフライが聞いたら大変な事になりそうですね。そういえば、ススハムのところに熊撃ちが来たと言っていましたけど。
二瓶鉄造だったら、大変ですね。
あんな言葉をしとりやお腹の子に聴かせるのは嫌ですし、私も堂々と叫ばれるのは恥ずかしい上、変態さんが更に増えるのは困ります。
「なあ、景」
「なんですか、左之助さん」
「斎藤と永倉のオッサンが樺戸でコソコソと何やってるのか知らねえか?たまに差し入れだか何かを持っていってるみたいなんだが」
「差し入れですか?知り合いが服役しているのなら、面会はするものですし」
私は二度と樺戸に行くつもりはありません。まだ「ゴールデンカムイ」の主要人物は揃っていないものの、かなり危ない人は多いですから。